バッテリーパックモニターIC、最大8セルに対応:Li電池の安全な動作を確保
Intersil(インターシル)は、最大8個のバッテリーセルに対応するバッテリーパックモニターIC「ISL94202」を発売した。
バッテリー保護、5つのモードを事前に内蔵
ルネサス エレクトロニクスの子会社であるIntersil(インターシル)は2017年3月、最大8個のバッテリーセルに対応するバッテリーパックモニターIC「ISL94202」を発売した。掃除機や芝刈り機、ハンドヘルド型電動工具、電動自転車などに用いられるリチウムイオン電池の用途に向ける。
ISL94202は、正極材料としてコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなどを用いた3〜8個のバッテリーセルに対して、その充放電状態などを監視/制御し、安全な動作と充放電を確保するためのICである。セル電圧レベルシフトや自動セルバランシングの機能に加え、14ビットA-Dコンバーター、電流検出モニター、パワーFET駆動回路、温度センサーインタフェースなどをワンチップに集積した。
また、ISL94202にはバッテリーを保護するため、事前にプログラミングされた5つのステートマシンが内蔵されている。設計者は過電圧や過電流、短絡などの検出やリカバリー時間などに関して、必要な条件を設定することができる。外部にバッテリー保護用のマイクロコントローラ(MCU)を用意する必要はない。必要であればI2Cを介して外部のMCUと通信することができ、充電状態や劣化状態といったバッテリー残量計測などの機能も追加することができる。
この他、内蔵したEEPROMに設定/校正レジスター内容を保存できる、オープンバッテリー接続検出機能、動作温度範囲は−40〜85℃と広い、などの特長がある。
ISL94202は、外形寸法が6×6mmの48端子QFNパッケージで出荷を始めた。1000個一括購入時の単価は2.19米ドルである。評価キット「ISL94202EVKIT1Z」も用意しており、価格は328米ドルとなっている。
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