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角度センサー、モーターの回転角を高精度に検出車載用モーター向け

パナソニックは、車載用モーター向けに小型で高精度の角度センサーを開発した。最高レベルの安全性を求められる「ASIL D」のシステムにも対応可能である。

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AMR薄膜とホール素子を組み合わせ、小型軽量で360度検出

 パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2017年3月、車載用モーター向けに小型で高精度の角度センサー「A3MR」を開発したと発表した。自動車分野における機能安全規格「ISO26262」に対応する。

 AMR薄膜は磁界の向きを高精度に検出できるものの、極性(方向)を判別することができないため、180度までの角度しか検出することができない。このため、360度の回転角度を高精度に検出したい用途では、レゾルバ方式の角度センサーがこれまで多く用いられてきた。ところが、レゾルバ方式の角度センサーも重さや形状がネックとなり、機能安全などに対応するための冗長設計が難しかったという。


角度センサー「A3MR」の外観

 A3MRは、高い精度で磁界の向きを検出できるAMR薄膜と、極性判別が可能なホール素子を組み合わせた独自の制御回路を開発した。これにより、モーターの回転角度を360度まで検出することが可能となった。しかも、その精度は±0.1度以下を実現している。小型軽量化も達成しており、レゾルバ方式に比べて半分以下だと主張する。

 新たに開発したAMR薄膜は、独自のプロセス技術や薄膜形成技術を採用した。これによって、磁界の強度が大きく変動した場合でも磁区の向きが乱れにくく、磁界の向きを高い精度で検出することができるという。サイドシャフト検出も可能で、センサーを回転軸上に設ける必要がないなど、システム設計の自由度も高まった。AMR素子の異常が発生しそうな場合に、故障の予兆を電子制御ユニットに知らせる自己診断機能も搭載している。

 A3MRは、ノイズ耐性にも優れている。従来の角度センサーは100mT程度の磁場環境で正常な機能を保つことが難しかった。これに対してA3MRは、最大200mTの高磁場環境でも精度の高い角度検出が可能だという。

 A3MRは、最高レベルの安全性を求められる「ASIL D」のシステムにも対応可能となっている。電動パワーステアリングやISG(Integrated Starter Generator)ハイブリッドシステム、シフトバイワイヤーといった車載用モーターの回転角検出用途に向ける。サンプル品の出荷開始は2017年5月、受注開始は2019年9月を予定している。

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