パナソニック、画質を高めた透明スクリーン発売:展示物もクリアに見える
パナソニックは、ショーウインドウの窓ガラスをデジタルサイネージとしても活用できる「透明スクリーン」を開発した。コントラストの高い映像表示が可能となる。複数のスクリーンを組み合わせると、4.9×2.75mの画面サイズを実現することもできる。
外光の影響を軽減、明るさが異なる室内環境にも対応
パナソニックは2017年1月、ショーウインドウの窓ガラスをデジタルサイネージとしても活用できる「透明スクリーン」を開発し、2017年3月22日より発売すると発表した。高コントラストの映像表示が可能で、スクリーンを複数枚接合すれば、4.9×2.75mの表示画面サイズを実現することもできる。
新製品は、透明スクリーン「XC-CSG01G」と制御ボックス「XC-CSC01G-A1」で構成される。映像コンテンツに合わせて、制御ボックスがプロジェクターとスクリーンを同期させ、透明モードとスクリーンモードを切り替える。映像はリア型プロジェクターを用いてスクリーンモード時に投射する仕組みだ。
新製品は、従来システムに比べてスクリーンモード時におけるコントラストの改善や、透明モード時の透過率を向上させた。これにより、通常のショーウインドウとデジタルサイネージの機能を両立できる特性を提供する。
例えば、外光を吸収することでコントラストの高い映像表示を実現した。開発した透明スクリーンは、特殊ポリマーとカプセルを入れた透明−白濁スイッチング層と色調コントロール層で構成する「高コントラスト調光フィルム」を、2枚のガラスの間に封入している。スクリーンモード時に、外光を色調コントロール層で吸収するため、画像劣化が極めて小さいという。
しかも、色調コントロール層の透過率は、設置された環境の照度に合わせて調整することができる。この機能により、明るさが異なる室内で利用する場合でも、一定の高いコントラストで映像表示が可能だという。
もう1つは、透明モード時における透過率の向上である。透明−白濁スイッチング層に電圧を印加して光を直進透過されるとともに、色調コントロール層にも最大電圧を加え、調光フィルムの透過率を向上させる。さらに、ガラス表面にはARフィルム貼合(オプション)などの反射低減処理を行うことで、約68%の透過率を達成することができるという。
開発した透明スクリーンは、大型映像システムを構成することもできる。水平方向に複数枚のスクリーンを接合すれば、16:9の画面比率で約221型(4.9×2.75m)の画面サイズに対応することが可能だという。システムは、透明モードとスクリーンの切り替え、プロジェクターからの映像照射、背面の展示用照明のオン/オフ切り替えなどの制御も統合的に行うことができる。
同社は、商業施設や小売店、ホテル、空港施設、博物館/美術館、公共施設などを中心に幅広い用途に提案していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パナソニックの“魔法の鏡”が創り出す新たな美
パナソニックは、非接触の肌センシング技術を用いた魔法の鏡「スノービューティミラー」と、貼るファンデーションを実現する「メイクアップシート」について技術セミナーを開催した。 - 消費電力0.01mWの水素センサー、ReRAMがヒントに
パナソニックは「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、千葉・幕張メッセ)で、現在開発中の水素検知センサーを展示した。水素検知センサーは、パナソニックが開発した新しい検出原理を採用したもので、既存品と感度は同等だが、消費電力が1万分の1以下となっている。 - パナソニックとNTTが業務提携、映像配信など新たなサービスの創設へ
パナソニックとNTTが、映像配信やセキュリティの分野で業務提携を行う。パナソニックが家電で培ってきた映像処理技術と、NTTのネットワーク技術を組み合わせ、新しいサービスの創設を目指す。 - 有機EL曲面デジタルサイネージ、DNPが導入
大日本印刷(DNP)は、LG製有機ELディスプレイを用いた業務用デジタルサイネージ事業を2016年10月より始める。LGエレクトロニクス・ジャパンはこれを機に、日本市場で有機ELを活用したデジタルサイネージ事業を本格展開する。 - CEATECの「IoTタウン」、初出展ばかりで面白い
CPS/IoTの展示会として開催されている「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日/千葉市幕張メッセ)。生まれ変わったCEATECで、主催者が特別企画として展示しているのが「IoTタウン」である。本記事では、初出展となる企業を中心に、IoTタウンの様子を画像で紹介する。 - NTTグループ、AI技術の実証実験を広範に展開
NTTなどグループ6社は、NTTグループが保有するAI関連技術「corevo(コレボ)」を用い、さまざまな分野/業界においてコミュニケーションロボットやセンサーなどと連動させた実証実験を始める。