検索
ニュース

パナソニック、PBT樹脂形成材料で黒色の透過材防水性に加え意匠性も向上

パナソニックは、レーザー溶着対応のポリプチレンテレフタレート(PBT)樹脂形成材料として、ブラックタイプの透過材を開発した。車載用電子部品のハウジングなどに向ける。

Share
Tweet
LINE
Hatena

車載電子部品などに用いられるレーザー溶着に対応

 パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2017年3月、レーザー溶着対応のポリプチレンテレフタレート(PBT)樹脂形成材料として、ブラックタイプの透過材「MBS230H93L」を開発したと発表した。2017年4月よりサンプル対応を行う。

 電子部品やセンサーにおける気密封止工法として、レーザー溶着工法の採用が増えているという。この工法で成形材料として注目されているのがPBT樹脂である。特に、自動車や自動二輪車の外部に取り付けられる部品関連では、耐光性や防水性に優れたPBT樹脂成形材料が多く採用されている。

 レーザー溶着工法は、レーザー光吸収材の上部にレーザー透過材を設け、透過材の上部からレーザー光を照射する。そうすると吸収材がレーザー光を吸収して発熱し、わずか数秒で透過材と接合する。この時、吸収材はカーボンブラックなど黒色(ブラックタイプ)を用いる。これに対して透過材は、高い透過率を維持するためにナチュラル色や白色タイプが主流となっている。

 こうした中、ユーザーからは意匠性などの点から、レーザー光透過材にもブラックタイプを採用したいとの要求が高まってきた。パナソニックが開発したMBS230H93Lは、ブラックタイプの透過材でありながら、独自の樹脂設計技術と新たに開発した調色技術を採用することで、レーザー光を最低70%も透過することができるという。


PBT樹脂形成材料として、新たに開発したブラックタイプの透過材「MBS230H93L」の外観とレーザー融着イメージ 出典:パナソニック

 成形品の反りが極めて小さく、高い気密性を維持できるのも特長だ。ガラス繊維をランダム配向させる独自の技術を駆使することにより、射出成型方式を用いても従来に比べて反りを従来の4分の1以下に抑えることができるという。これによって、均一な溶着を実現し、不良率も低下させることができる。

左は従来材とMBS230H93Lを用いたときのレーザー溶着比較、右は特性比較表 (クリックで拡大) 出典:パナソニック

 レーザー光の透過率が高く低エネルギーの照射出力でも、従来材料に比べて高速かつ安定した溶着が可能で、溶着工程のタクトタイムを短縮することができるという。さらに、高い耐加水分解性能を実現している。新製品は85℃/85%Rh(相対湿度)で1000時間処理した後でも、初期値に比べて80%を上回る引張り強度を保持することができるという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る