橋りょうのひずみを高感度で測るフレキセンサー:施工は橋りょうの表面に貼るだけ
産業技術総合研究所と大日本印刷は、橋りょうのひずみ分布を高感度に計測できる「フレキシブル面パターンセンサー」を開発した。同センサーは、橋りょうの表面に貼るだけで劣化状態のモニタリングが可能。従来の技術より安価、低消費電力、高耐久性なのも利点だ。
橋りょうに貼るだけでモニタリング可能
産業技術総合研究所(NEDO)は2017年4月11日、橋りょうのひずみ分布を高感度に計測し劣化状態をモニタリングできる「フレキシブル面パターンセンサー」を大日本印刷と共同開発したと発表した。2017年4月から高速道路橋に同センサーを貼り付け、ひずみ分布測定と屋外耐久性評価の他、補修した橋りょうの経過観察の実証試験を実施する。
NEDOらがこのセンサーを開発した背景には、老朽化橋りょう数の増大という問題がある。2015年度の国土交通白書によると、建設から50年を経過する社会インフラが今後加速度的に増加し、道路橋に限れば2023年には約43%が築50年を超える見通しだ。
橋りょう老朽化問題の対策として検討されているのが、橋りょうの劣化状態を把握するためにセンサーでひずみ分布をモニタリングすることだ。だが、値段や消費電力の高さ、屋外耐久性の低さ、施工方法の煩雑さなど、現行の技術にはさまざまな課題がある。
そこで、NEDOと大日本印刷は共同で、5mm×1mm×3μmの極薄ひずみセンサーを圧電MEMS技術で作製。それをフレキシブル基板上に配置し、保護シートや接着シートと一体化させ、今回のフレキシブル面パターンセンサーを開発した。
同センサーは、橋りょうを自動車が通過した際の動ひずみ分布を高感度で計測できる。その上、従来の技術より価格と消費電力が低く耐久性が高い。施工方法は、橋りょうの表面に貼るだけとシンプルだ。NEDOは、「こうしたインフラ維持管理、更新、マネジメント技術は、2030年に約7000億円超の市場創出が期待される分野だ」としている。
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