IoT開発キット、モジュラー構造で変更も容易:テクノフロンティア 2017
オン・セミコンダクターは、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア 2017)」で、モジュラー構造のIoT(モノのインターネット)開発キットについて、その応用事例を交えてデモ展示した。
多種多様なIoTの開発要件に対応
オン・セミコンダクターは、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア 2017)」(2017年4月19〜21日、千葉・幕張メッセ)で、モジュラー構造を採用したIoT(モノのインターネット)開発キットを紹介した。ブースでは、この開発キットの応用事例として、スマートビルディング向け自動シャッターのデモ展示を行った。
同社はパワーマネジメントICやセンサー製品、ワイヤレス通信用SoCなどの製品群を提供している。今回はこれらの製品群に加えて、IoT機器や電源システムに向けたソリューションの展示にも注力した。
IoTソリューションのコーナーでは、ARMの「Cortex-M3」コアを内蔵したSoC(System on Chip)を実装したベース基板と、この基板に接続して用いるモジュール基板などからなるIoT開発キットを紹介した。モジュール基板としては、各種の通信機能やセンサー機能、アクチュエーター機能を搭載した製品が用意されている。
モジュール基板としては、SIGFOXやWi-Fi、EnOceanといった無線通信、PoE(Power over Ethernet)機能付きイーサネットやCAN(Controller Area Network)などの有線通信に対応する製品の他、PIR(Passive Infrared Ray)モーションセンサー、アンビエントライトセンサー、心拍センサーなどのセンサー製品、さらにはステッパーモーターやブラシレス直流モーターなどを駆動するためのアクチュエーター製品などが用意されている。
この開発キットには、MQTT(Message Queue Telemetry Transport)やREST(Representational State Transport)など、業界標準のクラウド接続プロトコルなども含まれている。この開発キットのクラウドは「Carriots」がデフォルトとなっているが、「IaaS」や「PaaS」「SaaS」を設定することも可能だという。このため、システム設計者はクラウドサービスを利用したセンサーシステムの開発と評価を、比較的容易に行うことができるようになった。
ブースでは、IoT開発キットを用いてスマートビルディング向け自動シャッターのデモ展示を行った。このデモシステムは、ベース基板にアンビエントライトセンサーやステッパーモーターを駆動するアクチュエーターなどのモジュール基板を組み合わせている。
アンビエントライトセンサー(照度センサー)が部屋の明るさを感知し、状況に応じて窓に取り付けたブラインド(シャッター)の角度を調節して、明るさを調整するデモである。部屋の明るさやブラインドの角度に関する情報はクラウドのサーバにアップロードされ、クライアント側の端末でこれらの情報を確認することができるという。
「これまで当社は、IoT向けにカメラモジュールで撮影したデータをクラウド側に伝送するシステムなどは提供してきた。しかし、開発キットとしてサンプルのソースコードも含め、構成変更が可能なプラットフォームで提供するのは今回が初めて」(説明員)と話す。
これ以外にも展示ブースでは、USB Type-C/PDソリューションや極めて小さな消費電力を実現したBluetooth 5対応のSoC「RSL10」などを紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- SiCとリカロイで電力変換モジュールが従来比1/3に
アルプス電気は、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、従来品に比べて体積を3分の1に小型化した電力変換モジュールを展示した。SiCパワーデバイスと、アルプス電気独自の材料を使ったコイルによって、この小型化を実現した。 - GaNで効率90%、電動自転車用無線給電システム
Transphorm(トランスフォーム)は2017年4月19〜21日の会期で開催されている展示会「TECHNO-FRONTIER 2017」で、電動自転車用ワイヤレス充電システムなど自社製GaN HEMTの採用事例を紹介している。 - 最大15cmの距離でジェスチャーを認識
オン・セミコンダクターは、「第9回国際カーエレクトロニクス技術展」で、「快適空間ソリューション」や「駆動系ソリューション」「安全走行ソリューション」を提案するとともに、関連する新技術/新製品を紹介した。 - オンセミ日本法人社長に滝口修氏が就任
ON Semiconductorは2017年3月1日付で、日本法人社長に滝口修氏が就任したと発表した。 - 旧三洋の組織消えるも、日本への積極投資継続
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2016年11月、都内で戦略説明会を実施。Fairchild Semiconductor(フェアチャイルド・セミコンダクター)の買収に合わせて実施した事業組織の狙いや、日本への投資方針などを明らかにした。 - オンセミのフェアチャイルド買収が完了
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)によるFairchild Semiconductor(フェアチャイルド・セミコンダクター)の買収が完了した。2015年11月の買収発表から10カ月、中国当局の承認が得られたことでようやく完了することとなった。