東芝、東武新型特急500系に新駆動システムを納入:車両の低騒音化と低消費電力化
東芝は、全閉式永久磁石同期電動機(全閉PMSM)とVVVFインバーター装置を組み合わせた駆動システムを東武鉄道に納入した。この駆動システムは、東武鉄道が26年ぶりに導入する新型特急車両500系「Revaty」(リバティ)に採用される。
今後は海外展開も拡大
東芝は2017年4月20日、東武鉄道の新型特急車両500系「Revaty」(リバティ)全8編成24両向けに、全閉式永久磁石同期電動機(全閉PMSM)とVVVFインバーター装置を組み合わせた駆動システムを納入したと発表した。この駆動システムの導入により、車両の低騒音化と低消費電力化が実現する。
Revatyは、東武鉄道が26年ぶりに導入する新型特急車両だ。コンセプトは「さまざまな運行形態で運用可能な速達性と快適性を持った特急列車」。今回開発の駆動システムを搭載したRevatyの運用開始は2017年4月21日である。
全閉PMSMは、定格効率97%の高効率モーターだ。全閉構造により、モーターの騒音を低減する。同時に、内部の清掃を不要とし、メンテナンスを簡素化できる。一方、VVVFインバーター装置は、1台の冷却器に対して4つのインバーター回路を備え、小型化や軽量化に貢献する。
東芝が開発した駆動システムは、この2つの装置を組み合わせることで、車両が加速したときの消費電力の削減に成功。また、同社独自の制御方法により、ブレーキ時に発生する回生電力量を増加させ、車両全体の消費電力の削減を実現した。
同社はこれまでにも、全閉PMSMとVVVFインバーター装置を組み合わせた駆動システムを、東京地下鉄(東京メトロ)銀座線、丸ノ内線、東西線、千代田線をはじめ、JR九州の筑肥線、唐津線の他、阪急電鉄の神戸線や宝塚線、北大阪急行電鉄の南北線などへ納入してきた。海外に納入した実績もある。今後はグローバル展開をさらに進める予定としている。
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