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GPS不要の自律飛行システム搭載ドローン「PF1」:テクノフロンティア 2017(2/2 ページ)
自律制御システム研究所(ACSL)は「テクノフロンティア2017」で、国内で唯一完全に自社開発したというオートパイロットシステムを搭載したドローン「PF1」を公開した。PF1は、独自の位置情報取得システムなど、さまざまな技術を実装。これにより、産業用途に必要な安全で安定した自律飛行を実現している。
東芝のESCで安全機能を強化
PF1の自律飛行に貢献する技術は他にもある。例えば、荷重変化時に出力をセルフチューニングする機能だ。「荷物を配達するドローンでは、配達後の方が配達前より軽い。そのため、同じ出力でプロペラを回転させた場合、荷物を届けた後の方が前よりも飛行する高度が高くなってしまう。PE1に実装したセルフチューニングは、荷重変化に関わらず同じ高度で飛べるように出力を自動で調節する」(ACSL)
安全機能も充実している。例えば、東芝製の最新ESC(Electronic Speed Controller)を採用することで、モーターとの双方向のやり取りを可能にし、モーターをリアルタイムで監視する機能を実現した。「従来はモーター側に指令を出すことしかできず、モーターが指令値通りの回転数で回っているかどうか分からなかった。しかし、今ではモーター側のデータをリアルタイムで取得できるため、回転数が指令値通りでない場合は指令を出し直すことができる」(ACSL)
また、PF1はフォルトトレランス制御機能を搭載しており、仮にモーターが止まり、プロペラが1枚回らなくなったとしても、飛行を続けることができる。さらに、飛行の継続が不能という最悪の事態に陥ったとしても、パラシュートで無事に着地できるようになっている。
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