IoT時代で勝つには“組み込み視点”の議論が必要だ:JASA発IoT通信(1)(2/2 ページ)
EE Times Japanでは、組込みシステム技術協会(JASA)とスキルマネージメント協会(SMA)が推進する「IoT技術高度化委員会」とコラボレーションし、連載「JASA発IoT通信」をお届けしていく。連載第1回目は、同委員会で主査を務める竹田彰彦氏のインタビューを紹介する。
各WGでは“責任のない開発”を
EETJ 勉強会の話もありましたが、具体的に何に取り組んでいますか?
竹田氏 2015年に設立して、有識者を招いた勉強会からスタートした。業界団体や会員企業のIoTに関する取り組みのヒアリングを重ねている。第1回ではシスコシステムズを招いて、先ほど紹介したIoTの7階層について講演してもらった。2016年はセンシングデータの流通や、ドローン×IoT、人工知能(AI)などの議論が活発になっている。
WGに分かれた調査、研究も進めている。「ビジネス環境WG」「センサー&データWG」「エモーション駆動システムWG」「分散型モデルベース開発WG」である。ビジネス環境WGではデータが誰のものか、その帰属先、プライバシーなど法規制に関する調査研究を行い、データ流通を前提としたデータの安全性・信頼性の議論を進めてきた。センサー&データWGでは文字通り、センサーの設置・運用・保守に関する問題をドローンセンシングで解決すべく、産業用ドローンの安全自律飛行を検討してきた。
エモーション(感情)駆動システムWGは、毛色が少し変わっている。これからのサービスは、日本マイクロソフトの「女子高生AI りんな」のような感性型のAIとコミュニケーションして人間の感情を動かす、親しみを持ちやすいサービスに人々が集まる流れが生まれている。そのようなサービスのユースケースについて研究を行ってきた。
分散型モデルベース開発WGは、IoT時代に求められるスキルについて研究している。
EETJ WGが目指す方向性について教えてください。
竹田氏 基本的にはワークショップを通してアイデアを出し合いながら、ビジネスプランを創出していく。ルールは「ノーはNG」「責任のない開発」の2つである。これは「リアル開発会議」を参考にさせていただいた。
EETJ 責任のない開発とは……?
竹田氏 IoT技術高度化委員会は、さまざまな企業から集まった会員で成り立っている。自社事業に直結した事業をやろうとすると、外に出せない情報があって議論が進まない。WGはそれぞれがネタを持ちよった共創の場としており、事業化したかったら後は裏で勝手にやってくれと(笑)。この場がキッカケになるのだったら、私もうれしい。これまでにもドローンやAI分野において、WGをきっかけに新たな動きが生まれている。
次回の掲載日は5月25日!
各WGは活動から約1年がたち、名称が下記のように変わった。JASA発IoT通信では、毎月最終木曜日にWGの研究成果について紹介していく。具体的には「ドローンWG」「IoTスキル検討WG」を紹介する予定だ。次回の掲載日は2017年5月25日である。
- ビジネス環境WG→データ流通WG
- センサー&データWG→ドローンWG
- エモーション駆動システムWG→エモーションWG
- 分散型モデルベース開発WG→IoTスキル検討WG
なおIoT技術高度化委員会は月1回のペースで開催しており、JASA/SMA会員でなくとも参加できるという。参加申し込みはメール(jasainfo@jasa.or.jp)から可能だ。
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