外交する人工知能 〜 理想的な国境を、超空間の中に作る:Over the AI ―― AIの向こう側に(10)(5/9 ページ)
今回取り上げる人工知能技術は、「サポートベクターマシン(SVM)」です。サポートベクターマシンがどんな技術なのかは、国境問題を使って考えると実に分かりやすくなります。そこで、「江端がお隣の半島に亡命した場合、“北”と“南”のどちらの国民になるのか」という想定の下、サポートベクターマシンを解説してみます。
SVMは「国境問題」で考えるとよく分かる
さまざまなサポートベクターマシンの解説記事を眺めているうちに、私は、「これは、『国境問題』そのものだ」ということに気が付きました。
国境問題としては、ベルリンの壁が有名ですが、既に撤去さています。
なにか良い例題はないものか、と考えているうちに、最も切実な緊急性があり、わが国の安全保障上、最高ランクの危険地域が、ちょうどお隣に存在していたことに気が付きました。
今回は、お隣同士のよしみで、サポートベクターマシンの解説に、そのお隣の国の地図を使わせていただくことにしました。
まず、イメージを頭の中に作っていただくために、現在の隣国の半島における2つの国の国境についてお話します。
第二次世界大戦時、当時の朝鮮半島は日本の占領下にありましたが、日本の敗戦直前(数日前)に、北からはソ連(現在のロシア)が乗り込んできました。
慌てたアメリカは、南から朝鮮半島に入り、その時、北緯38度の線を境として、ソ連が北を、アメリカが南を占領することになり、その後、半島の北と南にそれぞれ北朝鮮と韓国が誕生しました(1948年)。
しかし、その後、朝鮮戦争が始まり(1950年) ―― そして、今もこの2つの国は交戦中です。
現在、多くの人が「国境」と考えているのは、1953年の休戦協定直前の最前線であった「停戦ライン(=軍事境界線)」です。つまり現在の半島の事実上の国境は、38度線ではなく、38度線付近のジグザグした線になっているのです。
江端亡命作戦
さて、ここからは、今の話と全く関係なく「半島<南><北>国境外交問題」という設定を作って、サポートベクターマシンの説明を試みたいと思います。
今回、想定する問題は以下の通りです。
江端は、日本という国に絶望して、「地上の楽園」と呼ばれている半島への亡命を希望している ―― という想定で、サポートベクターマシンの解説を行います(我ながら、無理のある設定だと思います)。
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