高速ビジョンセンサー、毎秒1000フレームで検出:撮像スピードは従来の33倍
ソニーは、毎秒1000フレームで対象物の検出と追跡を行うことができる高速ビジョンセンサー「IMX382」を商品化した。
裏面照射型CMOSイメージセンサーと信号処理回路部を積層
ソニーは2017年5月、毎秒1000フレームで対象物の検出と追跡を行うことができる高速ビジョンセンサー「IMX382」を発表した。2017年10月よりサンプル出荷を始める。
同社はイメージセンサー事業において、特にイメージング領域で多くの実績を持つ。最近はセンシング領域に向けた製品開発にも注力している。新製品の高速ビジョンセンサーもその1つである。
新製品は、裏面照射型CMOSイメージセンサーと信号処理回路部分を積層した構造となっている。信号処理を行う回路部は、ビューイング用とセンシング用の2つの画像処理ブロックを内蔵している。特にセンシング用にはプログラマブルな列並列プロセッサを搭載することで、画像処理能力を格段に高めた。有効画素数が1304×976画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーで撮影したデータを取り込み、対象物の検出や追跡といったセンシング処理を含め、毎秒1000フレームで実行することができるという。
従来のイメージセンサーは毎秒30フレームで処理するのが一般的である。新製品はこれに比べると約33倍の撮像スピードに対応しており、これまで難しかった高速移動する物体も、きちんと捉えることが可能となった。さらに、画像から得られる色や輝度の情報を基に対象物を検出し、その重心位置や面積、動きの方向などを割り出す処理を高速に行うことができる。これらの処理結果は1フレーム単位でセンサーから出力することができ、システムへのフィードバックも高速に行えるのが特長だ。
IMX382を産業用ロボットに実装した場合、対象物の動きや状態に応じて、ロボットが自律的な動作や対応をすることが可能になるという。画像処理回路部を集積したことで、外部にPCや演算処理を行うためのモジュールなどを用意する必要もなくなった。
IMX382のサンプル価格(税別)は10万円。同社は2017年10月のサンプル出荷に合わせ、カメラと制御用ソフトウェアからなる評価キットも用意していく。
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