ソニー、100km以上無線通信できるLPWAを開発:時速100kmで移動時も通信可能
ソニーは、長距離や高速移動中でも安定して無線通信できるLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク技術を発表した。同社が発表した実験結果によると、障害物のないところでの100km以上の遠距離通信と、時速100kmの高速移動時における安定した通信が可能だという。
既存技術の応用で独自のLPWAを開発
ソニーは2017年04月27日、誤り訂正などのデジタル信号処理技術の他、高周波アナログ回路や低消費電力のLSIなど、これまで培ってきた技術を基に、独自のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク技術を開発したと発表した。実験結果によると、海の上など障害物のない環境では100km以上の通信が可能。また、時速100kmで移動中でも安定した通信ができる。
ソニーの発表によると、LPWAで100km以上の通信と時速100km移動時の通信が可能になったのは、データ受信の高感度化を実現したためだ。同社のLPWAネットワーク技術では、送信機が0.4秒の間にパケットを複数回送信し、受信機が届いたパケットを波形合成する。これにより、高感度でデータを受信し、通信の安定性を高める。
一方、100km以上の通信を可能にした技術として、ソニーは新開発の誤り訂正符号も挙げている。長距離通信では通常、信号レベルの低下や情報の部分的な欠落が起きかねない。だが、同社のLPWAネットワーク技術は、送信機側で誤り訂正符号とパイロット信号をパケットに組み込んで発信し、受信機側でデータを復元することで、通信の成功確率を向上させている。
受信モジュールは、混信に強いチューナーLSIとGPS LSIを搭載。GPS LSIは送信モジュールにも備わっている。そのため、送信側と受信側の両方でGPS衛星から高精度な時刻情報を受信し、周波数とタイミングを補正できる。
周波数帯は920.6M〜928.0MHz。実転送レートは80ビット/秒(bps)。受信感度は−142dBm。空中線電力は20mW。1日1回の位置データ送信の場合、コイン電池1個で10年間の動作が可能だ。ソニーは今後、さらなる低消費電力化に向けて開発を継続するとしている。
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