青色LED初採用、波長460nmの反射式エンコーダー:シェアNo1の競合に対抗
ドイツのICメーカーであるiC-Hausが、光学式で初めて青色LEDを採用したという反射式エンコーダーICを開発した。その詳細について、iC-Hausの日本総代理店を務めるテクタイトに話を聞いた。
エアギャップなども競合を越える
モーターの回転位置、回転方向、回転速度の特定に欠かせない電子部品であるエンコーダーは、エレベーター、自動車、ロボットなどの正確な制御を陰で支えている技術だ。光学式と磁気式の2種類があるが、ドイツのICメーカーであるiC-Hausはどちらのエンコーダーでも世界有数の高いシェアを誇っている。今回は日本で総代理店を務めるテクタイトに、iC-Hausの最新エンコーダーICについて聞いた。
テクタイトによると、iC-Hausは競合と差異化を図るべく、独自性を強く打ち出した新製品を投入したという。その新製品とは、光学式で初めて青色LEDを採用したという反射式エンコーダーIC「iC-PR」だ。
iC-PRの最大の特長は、青色LEDの採用により波長を短くしたことにある。従来品の場合は光源が赤外LEDだったので、波長は850nmと長かった。だが、iC-PRは青色LEDを搭載することで、波長を460nmまで短縮し、精度の向上と電流値の低減を実現した。
それ以外の性能も従来に比べ大幅に向上している。iC-PRのラジアルは0.2mm。エアギャップは1〜3mmで、競合製品のエアギャップ0.5〜1mm(参考値)を上回る。テクタイトはエアギャップの広さについて、「ここまでICとディスクの間の隙間が大きいと、組み込みがかなり楽になる。驚かれるレベルだ」という。一方、一般的なエンコーダーの動作温度補償は最高85℃だが、iC-PRは「業界最高水準」(テクタイト)という105℃を実現している。
iC-PRはリニアエンコーダーとロータリーエンコーダーに対応。光学センサーやアンプから、コンパレーター、シグナルコンディショニング、補間器までをワンチップに内蔵した。テクタイトによると、青色LEDの採用などにより性能が大幅に向上したにもかかわらず、価格は従来品とほぼ同じだという。
磁気式のエンコーダーも
もう1つの製品は、アブソリュートの磁気式エンコーダーIC「iC-MU」だ。対応可能なマグネットの極対(N極とS極のペア配列)は、16極対15極、32極対31極(バーニヤ式)、64極対63極、128極対127極と幅広い。中空軸が大きく取れるため、主にロボットメーカーに重宝されているという。光学センサー、アンプ、コンパレーター、シグナルコンディショニング、補間機に加え、ラインドライバーも搭載した。
iC-MUには、NTNが開発した専用のマグネットがある。このマグネットは64極対63極の配置であり、±0.1度以下の高精度の角度検出が可能。また、着磁ピッチも±0.7%以下と高精度だ。サイズは外形51.5mm、内径44mm、幅8.2mm、重量10.7gだ。現時点ではラジアルタイプのみだが、アキシアルタイプの開発も予定されている。
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