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目指すはロボット技術立国 ―― 移動体IoTと産業用ドローンへの取り組みJASA発IoT通信(2)(3/4 ページ)

移動体のIoT(モノのインターネット)では無線通信を前提とするため、通信遮断対策や帯域確保などさまざまな課題が生じてきた。ここにエッジコンピューティングを導入し、組込みソフトと無線通信の協調による移動体IoTを実現させる。当初はコネクテッドカーからスタートした移動体IoTであるが、昨今は同様の技術がドローンに展開され始めた。ホビー用途のドローンでも、組込みソフトが機体の姿勢制御などを操る。産業利用のドローンには、さらなる安全性と信頼性が求められる。組込みソフトと無線通信の協調が果たす役割は大きい。

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ドローンの目視外飛行

 2015年12月に航空法が改正された。無許可でドローンを飛行可能なエリアが特定されたことで基準が明確となり、産業用途の開拓が進んでいる。2016年8月には電波法が改正され、ドローンへの長距離かつ大容量の通信が可能となった。


図4:改正航空法 出典:国土交通省(http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

 産業用のドローンは特定の設備を点検したり、物の運送を担ったりなどの役割を持つ。設備まで30m以内に近づく場合には、飛行許可の申請が必要となる。ここで、機体と設備の間隔が30m離れていることを、操縦者から目視できる距離は限られている。産業用ドローンでは、多くの場合に目視外飛行のための飛行許可申請が必須であろう。

 目視外飛行においては、無線通信による制御と映像伝送による確認(レーダーの搭載がない場合、操縦に加えて設備との間隔をみるため)を行わなくてはならない。

 即時性を求める制御用通信と、大容量の画像情報、映像情報を伝送する通信は、かなり異なる要求仕様である。限られた通信の帯域を有効に使うことで、これらの両立を図る。そのためのガイドライン策定が求められている。

ドローンの目視外飛行に必要な事項

 前述したように、即時性のある無線通信、画像伝送による確認は不可欠な項目である。それらに加え、飛行計画の事前申請、複数の飛行計画間の調整、電波利用の調整、緊急時の自律的な回避行動、自機位置推定の精度向上、機体自体の安全設計など、多くのテーマについて検討が進められている。

 ドローンの機体については、搭載された各種部品への制御はもとより、制御結果のフィードバックを得るための機構が実装される見込みである。

 これらにより、産業用に安心、安全設計されたドローンの提供が可能になるものと考えている。

ドローン無線通信の特徴

 通常のICT機器における無線通信とは異なり、移動体であるドローンの無線には種々の配慮が求められる。

 高速移動し山陰などに隠れることもあるドローンでは、電波の回折や反射を考慮する。1つの機体が広い帯域を利用してしまうと、同じ空域を飛行する他の機体に影響を及ぼす。

 ここでは、より狭域の利用を促すか、デューティ比(送信時間制限)を設定して時分割による共用を促進させる。バックアップ用のチャンネル設定も不可欠である。

 デューティ比を例に挙げると、短時間の送信後に一定の待ち時間(送信休止時間)を設けるルールがある。この待ち時間が長くなると、ドローンが長い距離を移動してしまうために危険を伴う。

 逆説的に捉えれば、ドローンの飛行速度が遅ければ通信の待ち時間は許容されることになる。通信の状態を監視して、飛行状態を任意に制御する組込みソフトが重要な役割を果たす。

 ドローンの無線通信には、機体の飛行をつかさどる組込みソフトと緊密な連携が必要なのだ。

図5:ドローン無線
分類 無線局免許 周波数帯 送信出力 利用形態 備考 無線従事者
資格
免許及び登録を要しない無線局 不要 73MHz帯など ※1) 操縦用 ラジコン用微弱無線局 不要
不要※2) 920MHz帯 20mW 操縦用 920MHz帯テレメータ用、
テレコントロール用特定小電力無線局
2.4GHz帯 10mW/MHz 操縦用
画像伝送用
データ伝送用
2.4GHz帯小電力データ通信システム
携帯局 1.2GHz帯 最大1W 画像伝送用 アナログ方式限定※4) 第三級陸上
特殊無線技士
以上の資格
携帯局
陸上移動局
※3) 169MHz帯 10mW バックアップ回線用 無人移動体
画像伝送システム
(2016年8月に制度整備)
2.4GHz帯 最大1W 操縦用
画像伝送用
データ伝送用
5.7GHz帯 最大1W 画像伝送用
データ伝送用
【注】国内でドローン等での使用が想定される主な無線通信システムは、以下の通りです。
※1)500mの距離において、電界強度が200μV/m以下のもの。
※2)技術基準適合証明等(技術基準適合証明および工事設計認証)を受けた適合表示無線設備であることが必要。
※3)運用に際しては、運用調整を行うこと。
※4)2.4GHz帯及び5.7GHz帯に無人移動体画像伝送システムが制度化されたことに伴い、1.2GHz帯からこれらの周波数帯への移行を推奨しています。
出典:総務省(http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/index.htm

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