リリース31年目のサプライズ、2つのLabVIEWとその違いは:NIWeek 2017レポート(2/2 ページ)
National Instruments(NI)は、5月25日(現地時間)までテキサス州オースチンで開催中の年次カンファレンス「NIWeek 2017」で、システム開発設計ソフトウェアの新バージョン「LabVIEW 2017」と、新たに設計から見直した次世代版「LabVIEW NXG 1.0」を発表した。
アイコンをベクターグラフィックス化
従来のLabVIEWは、最初のリリースから2016年に30周年(関連記事:LabVIEW誕生30周年:これからも技術者が使いやすいオープンなシステムを)を迎えた。GUIベースのOSやインターネットが普及する以前から長期間に渡ってバージョンアップが続けられてきたが、新しい機能を追加することが難しくなったり、そもそも実装できない機能が出てきたりしたという。例えば、従来のLabVIEWで複雑なシステムを記述したとき、作業効率を上げるため、拡大や縮小できるようにしてほしいという要望が以前からあったが、プログラミングで使うアイコンは、ドットグラフィックスで書かれたものであり、スムーズな拡大縮小ができるものではなかった。これに対し、LabVIEW NXGではアイコンがベクターグラフィックス化されただけでなく、拡大・縮小時に見にくくなることがないよう、それぞれサイズや比率などが調整され、自由に大きさを変えて表示できるようになった。
将来、統合を計画
大幅に改善されたLabVIEW NXGではあるが、今回のLabVIEW NXG 1.0は、現時点のLabVIEWの機能をすべて含んでいるわけではなく、例えばLabVIEWの強みの1つであるFPGAのプログラミングや、大規模分散テストなどは含まれない。またサポートするハードウェアの種類も少ない。NIWeek 2017で公開された開発版「LabVIEW NXG 2.0beta」を見ても、従来のLabVIEWを置き換えられるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。LabVIEW NXG 1.0は、NIWeek 2017で同時発表した従来版の最新版「LabVIEW 2017」と同梱されて提供される。価格は16万8000円から。LabVIEW NXGが入るからといって価格が上がるわけではない。LabVIEW 2017も「LabVIEW 2016」から進化し、標準のIP、標準の通信プロトコルとの相互運用性強化や、Amazon Web Serviceとの接続機能などが加わっている。
NIは将来、LabVIEW NXGにLabVIEWを統合する計画であるが、統合の時期を決めることはしていない。その時期はユーザー次第で、「大多数のユーザーがLabVIEW NXGを使うようになったとき」としている。NIはLabVIEW NXGによって、ユーザーの作業効率を高め、生産性を向上する狙いを持っていることはもちろんだが、これまでLabVIEWを使わなかった人々にもLabVIEWを使ってもらえるようになると期待している。
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