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SiC/GaNをより使いやすく、日本の新興企業が提案PCIM Europe 2017

headspring(ヘッドスプリング)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワー半導体の展示会「PCIM Europe 2017」(2017年5月16〜18日)で、GaNやSiCパワーデバイスを搭載した研究開発用のツールキットを展示した。

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SiC/GaNとゲートドライバを搭載した小型回路ブロック

 東京都品川区に拠点を置くheadspring(ヘッドスプリング)は、電気自動車や太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システムなどに搭載する電力変換器の受託開発などを行うメーカーだ。「パワーエレクトロニクス技術によって、電気のない国々にエネルギーを届けたい」(同社)との思いから2014年に設立され、現在の従業員数は26人。そのほとんどが、パワーエレクトロニクス関連技術で経験を持つエンジニアだ。

 PCIM Europeでは、SiCパワーデバイスやGaNパワーデバイスを搭載した研究開発用の回路ブロックを展示した。

 「HGCB-2B-401100」は、GaN SystemsのGaN E-HEMTを2個と、ゲートドライバIC、ヒートシンク、ファンを搭載している。「HGCB-2A-401350」は、ロームのSiC-MOSFETを2個、ゲートドライバIC、ヒートシンク、ファンを搭載した製品だ。保護機能も搭載しているので、SiCやGaNの試験時に発生しがちなイレギュラーな現象による破壊が起こりにくい。

 headspringがこうした回路ブロックを開発した理由の1つは、GaNやSiCパワーデバイスは、Siパワーデバイスに比べて扱いが難しいからだ。同社の説明担当者は「電気を入れれば回路が動くと考えている方も多いが、実際に回路を設計するとなると苦労される方もいる」と説明する。

 そこでheadspringは、ゲートドライバICも組み合わせて、あらかじめ回路を設計することで、ユーザーが、GaNやSiCパワーデバイスをより簡単に使えるようにした。設計資料(回路図)も付属している。販売価格は、GaNを搭載した「HGCB-2B-401100」が18万8000円で、SiCを搭載した「HGCB-2A-401350」が9万8000円(いずれも本体価格)。3個以上の購入で割引がある。なお、大学や研究機関などアカデミック向けには、やや価格を下げて提供する。

 こうした回路ブロックを用意することで、「SiC、GaNパワーデバイスの特性を簡単に観測できるようになり、(次世代パワーエレクトロニクスの)技術の蓄積につながる」(同社)


GaNを搭載した回路ブロック(手前)と、SiCを搭載した回路ブロック。サイズは、幅10cm×奥行き7cm×高さ5cmほど。「小型な点が特長」(headspring)だという(クリックで拡大)

 複数の回路ブロックを組み合わせることで、DC-DCコンバーター、インバーターなど、SiC、GaNを使ったさまざまな種類の電力変換回路を構築できる。

 headspringは、パワーエレクトロニクスの研究開発や試作に向けたプラットフォームを提供していて、回路ブロックは同プラットフォームを構成する製品の1つである。回路ブロックの他、組み込みコントローラーやパワーエレクトロニクス開発ツールセット*)、O-E(光-電気)およびE-O変換ボード、電圧/電流センサーボードなどがある。

*)パワーエレクトロニクス開発ツールセットは、ライブラリとGUI(Graphical User Interface)、PCとコントローラーを接続するデータプロセッサで構成される。

 headspringは、軟磁性コアや鉄粉コア、電子部品などを手掛けるドイツMES(Manz Electronic Systeme)のブースの一角を使って製品を展示した。「スタートアップだと、大きな規模の展示会でブースを1小間構えて出展するのはなかなか難しいので、MESのブースの一角を借りての展示となった」と語るheadspringだが、出展して手応えはあったようだ。筆者が取材中も、ひっきりなしに来場者が訪れ、展示品について尋ねていた。

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