コラム
2050年に7兆ドルの「Passenger Economy」が登場?:Intelが予想する自動運転の未来(2/2 ページ)
自動運転技術に膨大な投資をしているIntelが、「2050年には“Passenger Economy”という巨大市場が生まれている」と予測するレポートを発表した。レポートは、自動運転技術によって生み出される経済的、社会的価値は7兆米ドルに上ると予測している。
自動運転車によって生み出される経済的および社会的な価値
Strategy Analyticsが明確にしているように、自動運転車の市場規模を予測することが最も大事なポイントではないのだ。「Passenger Economy」とは、自動運転車によって生み出される経済的および社会的な価値に焦点が当てられているからだ。
Strategy Analyticsは、「7兆米ドル」という数字について、「ハードウェアとは関連のない数字」と明確にしている。つまり、7兆米ドルには、自動運転車の実際の売上高などは含まれていないわけだ。自動運転技術を使用したサービスが生み出す価値を数字にしたもの、ということになる。
「2050年」という年を予測の基準にしたのも興味深い。Strategy Analyticsはレポートの中で「2050年までに、販売されるクルマの約半数が完全な自動運転車となっているだろう」と予測している。もしかしたら、シリコンバレーの一部の人間は、この予測を「控えめ」だと感じるかもしれない。
さらにレポートでは、自動運転車の普及には消費者側のパラダイムシフトも必要になると説いている。とりわけ、クルマを所有することに対する考え方は、大きく変えていく必要があるだろうと指摘している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサスの「レベル4対応自動運転車」に試乗
ルネサス エレクトロニクスは、自動運転レベル4に対応する自動運転車の試乗会を東京都内で行った。安全な自動走行に加えて、「半導体の故障」や「サイバー攻撃」にも対応する機能を搭載している。 - Uberの自動運転車がアリゾナ州で横転事故
Uberの自動運転車が横転する事故が発生した。数々の疑問が浮かんでくるが、それを解明するにはUber側が、事故当時のデータを、さらに開示するのを待つ必要があるだろう。 - 自動運転技術、未完のまま市場に出る恐れも
自動運転車への注目度が日に日に高まっている。生命に直接関わる技術なだけに課題は山積だが、市場拡大が急ピッチで進んでいることから、自動運転技術が成熟する前に、自動運転車が市場に投入されてしまうのではないか、と懸念する声もある。 - トヨタがNVIDIAのAI技術を採用、Intelに焦りか
2017年5月10日、トヨタ自動車がNVIDIAのAI(人工知能)プラットフォームを採用する計画を明かした。自動車用AIプラットフォームを巡っては、Mobileye買収をするIntelと、NVIDIAが激しく競り合う。トヨタの採用でNVIDIAの優勢が明白になったが、勝敗の決着はまだ先のようだ。【訂正】 - MobileyeとIntelは車載分野の“Wintel”になれるか
車載市場への野心を燃やすIntelは、Mobileyeとの関係を順調に深めているようだ。カメラセンサーを用いたADAS(先進運転支援システム)分野では抜群に高い知名度を持つMobileyeと、その同社と組むIntelはこれから先どこに向かうのか。 - NVIDIAがエネルギー効率の高い相互接続技術を解説(前編)
バスやリンクなどの相互接続(インターコネクト)は大きなエネルギーを消費する。では、どのようにして消費電力を下げ、エネルギー効率を高めればよいのか。前編では、信号振幅を小さくする方法と、電荷を再利用する方法の2つについて解説する。