中国で勝ち残るコツ、“ジャストフィットな仕様”を追求する:製品分解で探るアジアの新トレンド(17)(2/4 ページ)
米国のプロセッサメーカーAmlogicは、中国のSTB(セットトップボックス)市場で首位の座を獲得し続けている。Amlogicが中国市場で勝ち残ってきた要因は、何だろうか。中国で発売されるSTBやAndroid TV boxを分解すると、その答えが見えてくる。
STB市場ではブランド力のある米Amlogic
図2は、2機種から基板を取り出した様子である。
内部にはWi-Fi/Bluetooth通信チップ(Qualcomm製または台湾Realtek製)、ストレージメモリ(NAND型フラッシュメモリ)、DDR3 RAM、オーディオCODEC、LANトランスフォーマーチップなどが並んでいる。その中心に、Android 6.0に対応し、STBとして画像や音声を処理するプロセッサが配置されている。
2製品ともにプロセッサは共通だ。米Amlogicの「S912」である。Amlogicの本社はシリコンバレーのほぼ中央に位置するサンタクララにあり、1995年創業という20年以上の歴史を持つ。現在は中国と米国の拠点および市場を最大限に活用する半導体メーカーの1つになっている。AmlogicのCEO(最高経営責任者)はJohn Zhong氏で、中国表記では钟培峰氏である。
Amlogicは日本ではあまりおなじみのない半導体メーカーだが、中国では3年連続でSTB、OTT(Over the Top)、Android TVのチップで市場シェア1位の座を射止めた知名度の高い会社である。
事実、中国には上海、北京、深セン、香港および台湾・台北にセールスオフィスやテクニカルサポートセンターがそろっている。また図2のセンターに掲載したように、チップには型名だけでなく、ロゴに配したJaguarの絵が描かれている。各分野でのトップ企業だけが持つことができる、いわゆるチップ・ニックネームである。例えばスマートフォン・プラットフォームのトップ企業であるQualcommがSnapdragon(龍)を、中国HiSliconがKirin(麒麟)を名乗るようなものだと捉えておけばいいだろう。
実際にAmlogicのプロセッサは実に多くのOTTやSTBに活用されている。ほぼコモディティといっても良い状態だ。
STB、OTT分野に特化し、市場シェア1位になれることは十分に評価できることである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.