車載カメラ映像、V-by-One HS技術で長距離伝送:伝送距離は最大15m
ザインエレクトロニクスは、MIPI CSI-2インタフェースに直結できるV-by-One HSの新製品「THCV241-Q」について量産出荷を始めた。車載カメラなどの撮像データを長距離伝送することが可能となる。
V-by-One HS×2レーン、最大8Mピクセル/毎秒60フレームで伝送
ザインエレクトロニクスは2017年6月、MIPI CSI-2インタフェースに直結できるV-by-One HSの新製品「THCV241-Q」について量産出荷を始めた。車載カメラ装置などの用途に向ける。
イメージセンサーは、高い解像度とハイダイナミックレンジ合成(HDR)への対応など、高性能化が進む。大容量の映像データを出力するためのインタフェースとしては、MIPI Allianceが策定したMIPI CSI-2が一般的に用いられている。消費電力が小さく、高速シリアル伝送が可能となるからだ。半面、伝送距離に制限があるため、システム設計時のレイアウトなどが課題となっていた。
THCV241-Qは、MIPI CSI-2インタフェースをV-by-One HSインタフェースに変換して伝送するためのIC。具体的には、最大8Mピクセル(4K2K)で30フレーム/秒の撮像データを、1対のシールド付きツイストペア線あるいは1本の同軸線を用いて伝送することが可能となる。V-by-One HSを2レーン用いると、最大8Mピクセルで60フレーム/秒の撮像データも伝送することが可能となる。
伝送距離は最大15mまで伸ばすことができる。これによりレイアウトの制限などを受けずにシステム設計を行うことが可能となる。複数個の車載カメラを搭載し、各映像を関連づけて周囲の状況を判断したり、システムを制御したりするような車載用途で有用となる。
また、イメージセンサーを制御するためのシリアルインタフェースである「GPIO」や「UART」などとのブリッジ機能を備えている。この機能を活用して、画像処理やシステム制御を行うコントローラ側からイメージセンサーの動作を制御することも可能だ。イメージセンサーへの電源供給も同一ケーブルで行うことができる。
THCV241-Qは、車載半導体の信頼性規格「AEC-Q100 Grade 2」に対応している。高解像度のHDR映像でも、極めて少ない遅延時間で伝送することができるため、先進運転支援システム(ADAS)用車載カメラの用途などに向ける。THCV241-Qは、外形寸法が5×5mmの40端子QFNで供給される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- MIPIのCSI-2がモバイル以外に拡張、IoTや車載など
モバイル機器のカメラインタフェースとして普及している「MIPI CSI-2」の拡張バージョン「MIPI CSI-2 v2.0」が登場した。IoT(モノのインターネット)やAR・VR、車載システムにおける複雑なイメージングのニーズに対応するためだと、MIPIアライアンスは発表している。 - フリッカー抑制とHDRを両立する車載イメージセンサー
ソニーは車載用CMOSイメージセンサーとして、LEDフリッカー抑制機能とHDR機能を同時に利用できる「IMX390CQV」を製品化した。感度についても従来品比約1.5倍高めたという。 - USB 3.1 Gen2の転送距離を延ばすマルチプレクサー
ザインエレクトロニクスは2016年7月、波形整形機能を搭載した最新USB規格「USB 3.1 Gen2 Type-C」に対応したマルチプレクサーを開発したと発表した。 - ルネサス、車載レーダー分野に本格進出
ルネサス エレクトロニクスは、自動運転に必要となる車載レーダー向けに新シリーズマイコンを市場投入する。これを機に車載レーダー分野へも本格進出する計画だ。