USB 3.1 Gen2の転送距離を延ばすマルチプレクサー:規格の1mを超える転送が可能に
ザインエレクトロニクスは2016年7月、波形整形機能を搭載した最新USB規格「USB 3.1 Gen2 Type-C」に対応したマルチプレクサーを開発したと発表した。
CTLEによる波形整形機能搭載
ザインエレクトロニクスは2016年7月8日、最新USB規格「USB 3.1 Gen2 Type-C」に対応したマルチプレクサー「THCX423R10」を開発したと発表した。波形整形機能、構成チャンネルロジック、省電力機能を搭載する。同社は、THCX423R10を皮切りに、USB 3.1 Gen2 Type-C市場に参入する。
USB 3.1 Gen2(SuperSpeed USB 10Gbps)は、データ転送速度が従来のUSB 3.1 Gen1の2倍に相当する10Gビット/秒を誇る。THCX423R10は、このUSB 3.1 Gen2 Type-Cに対応したマルチプレクサーで、ザインでは「世界初の製品化」とする。
高速なデータ転送を実現するUSB 3.1 Gen2だが、最大ケーブル長については、USB 3.1 Gen1の3mから、1mに短縮された。これに対し、THCX423R10は、CTLE(Continuous Time Linear Equalizer)による波形整形機能により、規格の1mを超える長距離伝送を可能にする。
基板設計自由度が拡大
内蔵する構成チャンネルロジックなどにより、「THCX423R10の1チップだけでUSB3.1 Gen2 Type-Cのスイッチシステムに必要な機能の大半をカバーできる」(同社)とし、PCやモバイル機器のUSB3.1コネクター部分の基板面積を大幅に削減できる利点がある。「こうした機能により、USB周辺機器接続用のコネクターとUSBホストデバイスとの距離を一般的には近づけなければならない設計上の制約が緩和され、基板設計の自由度も拡大される」(同社)という。
THCX423R10は、5mm角サイズの40ピンQFNパッケージを採用。2016年7〜9月にサンプル出荷を開始する予定だ。
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