「上位から下位まで用意」Qualcommのオーディオ戦略:スマホ向け「Snapdragon」同様に(2/2 ページ)
Qualcommは、大きく変化しつつあるオーディオ市場を踏まえ、オーディオ機器の開発向けに5つの新しい製品群を発表した。顧客が、Time-to-Marketの短縮と、ローエンドからハイエンドまでのチップをそろえ、設計の柔軟性を実現できるよう、貢献したいとする。
スマートスピーカを容易に実現できるプラットフォーム
「WHS9420」「WHS9410」は、USB Type-Cの接続に対応したオーディオSoCだ。Murray氏は「USB Type-Cコネクターを搭載するモバイル機器は増えている。こうした機器で高音質を提供できるようにするためのチップだ」と説明した。ハイエンド品のWHS9420は、ANC(Active Noise Cancel)に対応し、最大で192kHz/24ビットのハイレゾ(High Resolution)音源をサポートする。
デジタルアンプIC「DDFA(Direct Digital Feedback Amplifier)」の次世代品も紹介した。DDFAは、Qualcommの子会社であるQualcomm Global Tradingが2015年8月に買収したCSRが開発した技術を基にしている。20Hz〜20kHzにおけるTHD+N(全高調波歪み率+雑音)が0.002%以下と、極めて低いことが特長だ。
「Smart Audio Platform」は、スマートスピーカー向けの設計プラットフォームだ。QualcommのSoC「APQ8009」または「APQ8017」上で動作する複数のソフトウェアをそろえていることが特長となっている。具体的には、音声UI(User Interface)、音声アシスタント、音楽ストリーミング、VoIP(Voice over IP)などの機能を実現するためのソフトウェア群だ。Murray氏は、「従来、スピーカーやサウンドバー、ネットワークオーディオの機器は、全く異なる部品で構成されていた。近年は、サウンドバーにネットワークオーディオの機能が内蔵されるなど、ユースケースの境目が曖昧になってきている。つまり、機器を柔軟に設計できるプラットフォームが必要になる」と説明する。
「上から下まで」そろえる
Murray氏は、「オーディオ市場向け製品の戦略は、ローエンドからハイエンドまでの製品ポートフォリオをそろえることだ」と強調する。Qualcommは、スマートフォン向けのSoC「Snapdragon」でもローエンドからハイエンドまで幅広い品種を提供しているが、オーディオ向け製品群でも同様の戦略を採る。「顧客の開発効率を上げ、Time-to-Marketを短縮することが一番の目的である。エントリーレベルの機器からハイエンド機器の設計に移行する際もスムーズにいくよう、あらゆるレベルの製品を1つのプラットフォーム上にそろえておきたい」(同氏)
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