シーメンス、メンター買収までの経緯を語る:「DAC 2017」で(1/2 ページ)
米テキサス州で開催された「Design Automation Conference(DAC 2017)」において、Mentor Graphics(メンター・グラフィックス)の買収を2017年3月に完了したSiemens(シーメンス)が基調講演に登壇。Mentor買収に至る経緯と今後を語った。
買収の検討は以前にも
ドイツSiemens(シーメンス)が、米EDA大手のMentor Graphics(メンター・グラフィックス、以下Mentor)を45億米ドルで買収すると発表したのは2016年11月のことである。だが、SiemensがMentorの買収を検討したのは、これが初めてのことではなかった。
両社は約9年前に、“フライバイ(fly by:近くを飛ぶ、という意味)”と呼ぶ、統合を検討する機会を持っていたことが分かった。MentorのライバルであるCadence Design Systemsは2008年に、Mentorに敵対的買収を仕掛けた。これに対し、MentorのCEO(最高経営責任者)のWalden Rhines氏は、数社に友好的買収(ホワイトナイト)を持ちかけたが、そのうちの1社がSiemensだったのである。
Rhines氏は、当時Siemens PLM SoftwareのCTO(最高技術責任者)だったChuck Grindstaff氏にホワイトナイトを要請したという。Siemensはこの時は買収を見送ったが、Mentorの取締役会がCadenceに協力的ではなかったことと、米連邦取引委員会(FTC)がこの取引に関して厳密な調査を行う意向を示したことから、Cadenceは最終的に買収提案を取り下げた。
だが、現在Siemens PLM Softwareのエグゼクティブチェアマンを務めるGrindstaff氏は、この“フライバイ”以前にも、同社とEDAに特化したあるソフトウェア企業を統合する構想を持っていたという。なお、Siemens PLM Softwareは、主に製品ライフサイクル管理(PLM)や製造オペレーション管理(MOM)向けソフトウェアを手掛けるPLMプロバイダーである。
Grindstaff氏は2017年6月20日(米国時間)、電子設計技術に関する国際学会「Design Automation Conference(DAC 2017)」(2017年6月19〜29日、米国テキサス州オースティン)で、業界誌の編集者によるインタビューの中で、「他のソフトウェア企業と統合する構想は、20年前から持っていた。技術が進化して、“統合がもたらすシナジー効果”が“統合が引き起こす市場の混乱”を上回る時が来るのを待っていた」と述べた。
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