NXP、IoT機器向けに新ファミリーマイコン:消費電力、性能、価格を最適化
NXP Semiconductorsは、消費電力が小さくコストパフォーマンスに優れた32ビットマイコン「LPC84x」ファミリーを発表した。同社は消費電力と性能、価格の面でバランスのとれたマイコンと位置付ける。
高い電力効率やコスト効率を実現
NXP Semiconductorsは2017年6月、消費電力が小さくコストパフォーマンスに優れた32ビットマイコン「LPC84x」ファミリーを発表した。IoT機器などの用途に向ける。
LPC84xファミリーは、動作周波数30MHzのARM Cortex-M0+コアを搭載した「LPC800」シリーズの新製品となる。消費電力と性能、価格の面でバランスのとれたマイコンを目指して開発した。既存の8ビット、16ビットマイコンに比べると、性能は10倍、プログラムのコードサイズは半分で済むという。
LPC84xファミリーは、高速アクセス初期設定メモリ(FAIM)により、電源立ち上げ時にクロック周波数が低いモードで起動させることができる。この機能によりスタートアップ時の消費電流を小さく抑えることが可能となった。入出力ポートは設定した構成で即時に起動させることができる。
また、LPC845は容量式タッチセンシング機能を追加することができる。この機能は「スリープ」あるいは「ディープスリープ」のモードで動作させることができるため、消費電力の節減につながる。しかも、最大9個の容量式ボタンに対応できることから、スライダーや回転、ボタンマトリックスなど、異なるセンサーを構成することが可能だという。
さらに、ソフトウェアライブラリーなどによって、自動キャリブレーション機能を追加することができる。これによってノイズが多く湿度の高い動作環境でも、高い性能、検出精度を実現することができる。
LPC84xファミリーはこの他、64kバイトのフラッシュメモリや16kバイトのSRAM、12ビットA-Dコンバーター、デュアル10ビットD-Aコンバーター、32ビットSCTimer(ステートコンフィギュアブルタイマー)、PWM、最新のDMA、自動シリアルインタフェース、I/Oスイッチマトリックスなどの機能を内蔵している。
パッケージは「LQFP64」「LQFP48」「HVQFN48」「HVQFN33」を用意した。2017年第3四半期(7〜9月)より、LPCXpresso845-MAX開発ボード「OM13097」やソフトウェアパッケージも供給を始める予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2016年マイコンシェア、NXPがルネサスを抜き首位に
IC Insightsが発表した2016年のマイコン(MCU)市場売上高ランキングによると、NXP Semiconductorsがルネサス エレクトロニクスを抜いて首位に立った。 - 2016年の車載半導体市場、NXPが首位を維持
英国の市場調査会社であるSemicast Researchが、2016年の車載ICベンダーランキングトップ10を発表した。ランキングの順位は2015年に比べてほとんど変化しておらず、NXP Semiconductorsが前年に続き首位に立った。 - QualcommのNXP買収、EUは承認するのか
QualcommによるNXP Semiconductors買収は、米国の監査当局からの承認は得たものの、EUや中国で承認が得られるかが注目の的になっている。 - Qualcomm/NXPの合併に立ちはだかる米中政府の壁(前編)
QualcommによるNXP Semiconductorsの買収は、2016年に発表された大型M&A案件の1つである。この買収は2017年末に完了する見込みだが、米国政府と中国政府という2つの大きな壁によって、買収完了が長引く可能性がある。 - Qualcomm/NXPの合併に立ちはだかる米中政府の壁(後編)
政権が移行したばかりの米国では、M&Aの審査のプロセスがこれまでにないほど予測不能になっているようだ。QualcommによるNXP Semiconductors買収は、2017年末に完了する予定だが、それが伸びる可能性もある。 - NXP、音声認識技術でAmazonと協業
NXP Semiconductorsは、Amazonが提供するクラウドベースの音声認識サービス「Amazon Alexa」に対応した機器の開発を簡素化することができる「NXPリファレンスプラットフォーム」を発表した。