上司の帰宅は最強の「残業低減策」だ 〜「働き方改革」に悩む現場から:世界を「数字」で回してみよう(41) 働き方改革(1)(4/11 ページ)
あなた(あなたの会社)は、「働き方改革」に本気で取り組んでいますか? 読者の皆さんの中には、「誰かの上司」という立場である方も極めて多いと思われます。そんな皆さんに伝えたい――。シミュレーションで分かった「残業を減らす最善策」、それは皆さんが今すぐ、とっとと帰宅することなのです。
今最もホットな話題、「時間外労働」
3. 時間外労働
時間外労働は、今、最も世間で熱い議論になっている項目です。なにしろ、これくらい分かりやすい「数字」はないからです。「時間外労働 = 超過労働」という考え方はおおむね正しいですし、そして超過労働から発生するうつ病や自殺率との因果関係は、今や常識になっています。
一方、労働時間が長くなれば生産量が増えるのは当然ですし、成果量を維持したまま稼働時間を短くすれば、その装置(人)やシステム(会社)が壊れやすくなるのも、自明の物理学です。
私が新人のころ、『江端君。僕はね、ダラダラと働くのが好きなんだよ』と言った先輩の言葉は、今でもよく覚えています。
4. 労働環境
「力任せの人工知能 〜 パソコンの中に作る、私だけの「ワンダーランド」にも書いていますが、インターネットが社会インフラとして認識される1990年よりも前に、"Small Office Home Office(SOHO)"という概念はありました。
しかし、30年近くたっても、いまだに在宅勤務が定着しているようには思えません。そして、私は、その理由についてまともな説明をしている研究も論文も政府資料も見つけることができていません。
5.副業・兼業
「正社員として採用されなかった若者の、その後の悲惨な末路」や「リストラされた中年の、絶望的な再就職活動」が、毎日、どこかで、ニュースやドキュメント番組で放送されている日々において、「『幸せな転職』を信じる」というのは、無理というかムチャです。
このような状況下にあって、副業・転業は、人生のポートフォリオを充実させるために意義があると思いますが、そのような者を「許せない」という空気が、この世間にあるのは事実です*)。
*)これについては『週末研究員』である、この私が語れると思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.