新日鉄住金、SiCウエハー事業から撤退へ:関連資産は昭和電工へ譲渡
新日鐵住金(新日鉄住金)は2017年8月7日、パワー半導体向けSiC(炭化ケイ素)ウエハーに関する研究開発および、事業について2018年1月末をめどにに終了すると発表した。関連資産については、昭和電工に譲渡するという。【訂正あり】
2018年1月末をめどに
新日鐵住金(以下、新日鉄住金)は2017年8月7日、2018年1月末をめどにSiC(炭化ケイ素)単結晶ウエハー(以下、SiCウエハー)に関する研究開発、事業開発を終了すると発表した。なお、SiCウエハーの昇華再結晶法に関する関連資産は昭和電工に譲渡する。
【訂正:2017年8月7日午後3時56分、社名表記に誤りがありました。お詫びして訂正致します】
2018年1月末をめどに終了するのは、技術開発本部先端技術研究所で実施しきたパワー半導体素子用の昇華再結晶法による直径6インチSiCウエハーの研究開発と、完全子会社新日鉄住金マテリアルズで行っている直径4インチSiCウエハーに関する事業開発。
2007年に4インチ開発も「市場形成にいまだ時間要す」
新日鉄住金では、製鉄事業で培った技術を活用して2007年に4インチSiCウエハーの開発に成功。その後、新日鉄住金マテリアルズが実用的な製造技術、品質の確立に向けた事業開発を開始し、SiCウエハーの提供を行っていた。
SiCウエハー関連の研究、事業開発の終了する理由として新日鉄住金は「SiCウエハーを使用したパワー半導体の本格的な市場形成にはいまだ時間を要することから、事業の選択と集中の一環として、新日鉄住金グループではSiCウエハーに関する研究開発、事業開発を終了することにした」と説明している。
新日鉄住金は同日、SiCウエハーの昇華再結晶法に関する関連資産を2018年1月末をめどに昭和電工に譲渡することも発表。昭和電工は、2005年からSiCエピタキシャルウエハーの技術開発に取り組み、現在、月産3000枚のウエハーの製造、販売を実施している。昭和電工では「新日鉄住金グループの保有する関連資産を取得することで、SiCウエハー製品のさらなる品質向上を目指す」とコメントしている。
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