2017Q2のDRAM世界売上高、過去最高の165億ドルに:応用範囲の拡大で需要が増加
2017年第2四半期(4〜6月期)のDRAM世界売上高が、過去最高の165億米ドル以上となった。DRAMeXchangeの予測によると、DRAMの販売価格は2017年の残りの期間、引き続き上昇し続けるという。
前期比17%成長
2017年第2四半期(4〜6月期)のDRAM世界売上高は、DRAMの供給不足がやや和らいだにもかかわらず、過去最高となる165億米ドル以上に達した。
メモリ市場調査会社のDRAMeXchangeによると、2017年4〜6月期におけるDRAMの供給不足は、2017年1〜3月期ほど深刻ではなかった。下流の機器メーカーは徐々にだが、DRAMの在庫を積み増すことができているという。
それでも、2017年4〜6月期のDRAM売上高は前期比17%近く成長し、PCやサーバ向けDRAMの平均販売価格(ASP)は前期比10%以上拡大した。モバイルDRAM製品のASPは前期比5%以下の増加にとどまったが、それは主に中国のスマートフォンブランドの多くが年間出荷目標を引き下げたためだという。
順位 | 社名 | 2017年4〜6月 売上高 |
2017年1〜3月 売上高 |
成長率 (前期比) |
2017年4〜6月 市場シェア |
2017年1〜3月 市場シェア |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Samsung Electronics | 76億3300万 | 63億2300万 | 20.7% | 46.2% | 44.8% |
2 | SK Hynix | 45億100万 | 40億4700万 | 11.2% | 27.3% | 28.7% |
3 | Micron Group | 35億5900万 | 29億6000万 | 20.2% | 21.6% | 21% |
4 | Nanya | 4億1700万 | 3億9400万 | 5.9% | 2.5% | 2.8% |
5 | Winbond | 1億6300万 | 1億5700万 | 3.7% | 1% | 1.1% |
6 | Powerchip | 1億700万 | 1億1000万 | ▼2.5% | 0.6% | 0.8% |
その他 | 1億3300万 | 1億3400万 | ▼0.4% | 0.8% | 0.9% | |
合計 | 165億1400万 | 141億2600万 | 16.9% | 100% | 100% | |
出典:DRAMeXchange |
DRAMeXchangeのリサーチマネージャーであるAvril Wu氏は記者発表文の中で、「DRAM市場はASPの上振れと、サプライヤーの“技術移行”の継続的な進展から恩恵を受けた」と説明した。加えて、「2017年中に生産能力を大幅に拡大する計画のあるサプライヤーはいないようだ」とも述べた。
DRAMの世界市場は、その供給不足と相まって、応用範囲の拡大に基づく需要増により、転機の年を迎えている。市場調査会社のIC Insightsは、2017年のDRAM売上高が前年比55%増という目を見張る成長を遂げ、半導体市場全体の売上高を前年比16%も増加させると予測する。
DRAMeXchangeによると、大手スマートフォンメーカーの最新フラグシップモデル、例えばAppleの次期「iPhone」などのリリースが、2017年7〜9月期に新たなモバイル需要の波を引き起こすと予想されているという。同社は、2017年の残りの期間、DRAMの販売価格は上昇軌道に乗り続けると見ている。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Micronの台湾DRAM工場が稼働停止、供給に影響か
Micron Technologyの子会社であるInotera MemoriesのDRAM製造工場の稼働が停止したことで、DRAMの世界供給量が低下する可能性が出てきた。それにより、価格の上昇も懸念されている。 - モバイル向けDRAM、2017Q2には価格が10%上昇か
DRAMeXchangeによると、2017年第1四半期におけるモバイル向けDRAMの世界売上高は、前四半期に比べて1.7%減とわずかに低下した。ただし、2017年第2四半期には価格が10%上昇するとみられている。 - 中国のメモリ市場、2017年はどう動くのか(前編)
半導体産業の拡大と強化に国をあげて注力する中国。その中国が現在、焦点を当てているのがメモリ分野だ。 - 中国のメモリ戦略は苦難の道をたどるのか
半導体技術の強化を図る中国が、メモリ産業に狙いを定めている。だがメモリは、技術開発にも製造にも膨大な資金がかかる分野だ。中国は、メモリ関連の知識と経験を持つ人材の確保に奔走しているが、「中国は苦しい選択をした」との見方を示す専門家もいる。 - エレクトロニクス産業を動かす“3大潮流”
変化の激しいエレクトロニクス産業の未来をIHS Markit Technologyのアナリストが予測する。連載第1回は、これからのエレクトロニクス産業を動かしていくであろう“3大潮流”を解説する。 - 2017年Q2の半導体売上高、SamsungがIntelを抜く
2017年第2四半期の半導体売上高において、Samsung ElectronicsがIntelを抜いた。メモリ市場が好調だったことが主な要因だ。