AR/VR市場、2021年には2150億ドル規模に:2017年予測は114億ドル
IDC Japanは、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)関連の世界市場予測を発表した。2017年の114億米ドルに対して、2021年は約2150億米ドルの市場規模に達する見通しである。日本市場は年率60%以上の成長を続けるが、世界への追い上げが課題になるという。
産業設備の保守、メンテナンス向けなどで伸びを期待
IDC Japanは2017年8月15日、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)関連の世界市場予測を発表した。2017年の114億米ドルに対して、2021年は約2150億米ドルの市場規模に達する見通しである。2016〜2021年の年間平均成長率(CAGR)は113.2%を見込む。
2017年におけるAR/VRのハードウェアやソフトウェアおよび、関連サービスの支出合計額が最も多いのは米国で、32億米ドルとなる。次に、日本を除くアジア太平洋地域(APeJ)が30億米ドル、西欧が20億米ドルと続く。APeJは2018年と2019年に1位となるものの、その後は減速。2020年には再び米国が首位になると予測する。また、2021年には西欧がAPeJを追い抜き2位となる見通しである。
2016年から2021年にかけて急速に支出額を拡大するのがカナダだ。この5年間のCAGRは145.2%が見込まれている。さらに中東欧が133.5%、西欧が121.2%、米国が120.5%とIDCは予測する。
業種別に支出額を見ると、2017年は民生機器分野がいずれの地域においても最大となる。米国と西欧は2番目の用途が組み立て製造とプロセス製造となる。特に米国では今後、プロセス製造や政府、組み立て製造、小売り、建設、運輸などの比率が高まるとみられている。これに対してAPeJは、2017年で2番目の用途が小売りと教育である。民生機器分野は引き続き、2021年まで最大支出となる予想だ。
また、今後の見通しについて、「次世代ハードウェアが登場すれば、産業界での本格利用が始まるだろう。労働者の生産性と安全性を向上させたり、カスタマイズされたサービスで消費者を魅了させたりすることができる」(同社)と話す。
AR/VR投資を加速させる応用事例についても予測した。2017年の支出額は、小売業における展示向けが4億4200万米ドルと最も大きく、現場での組み立てと安全管理が3億6200万米ドル、プロセス製造トレーニングが3億900万米ドルという内訳になっている。これが、2021年には、産業設備の保守/メンテナンス向けで52億米ドル、公共インフラ整備向けで36億米ドル、小売業での展示向けで32億米ドルに拡大すると予測されている。民生機器分野では、ゲーム分野が中心で、その支出額は95億米ドルに達する見通しだ。
2021年までの予測期間でCAGRが高い応用事例として、実験関連の166.2%、治療とリハビリの152.0%、公共インフラ整備の138.4%などを挙げた。
日本は、世界への追い上げが課題に
日本のAR/VR関連市場は堅調に推移すると予測する。2016〜2021年のCAGRは67.1%で、世界に比べると成長率はやや低い。この要因として、「現段階ではコスト面やコンテンツ内容での懸念が根強い」とした上で、「今後の技術革新やハードウェアの普及を考えると、現段階で採用/導入を進めることは、企業にとって極めて大きなアドバンテージになる」と指摘している。
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