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ミリ波技術をコネクターの世界に 米Keyssa短距離通信市場を狙う(1/2 ページ)

米国のKeyssaは、ミリ波帯を利用してデバイス間を超高速に接続する技術を開発するメーカーだ。同社が注力するのは、「無線技術」ではなく、「コネクター技術」である。

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ミリ波技術をコネクターに


出典:Keyssa

 米国カリフォルニア州キャンベル(Campbell)に拠点を置く技術メーカーKeyssaは2017年8月16日(現地時間)、モバイルデバイスとIoT(モノのインターネット)機器とを超高速で接続する技術を実現するための活動団体として「Connected World」を発表した。同社は、FoxconnやSamsung Electronicsなどの大手企業から資金提供を受けていることを明らかにし、自社のミリ波技術を勢いに乗せていきたい考えだ。

 Keyssaの名前を聞いたことがない人々は、同社を、WirelessHDやWiGigのように、数十年前から存在していながらまだ花開いていない、超高帯域幅の無線通信市場を追求するスタートアップ企業だと思うかもしれない。

 しかしKeyssaは、無線技術をめぐる競争には全く興味を持っていないのである。同社のターゲットは、コネクター市場だ。

 Keyssaは、最大6Gビット/秒(Gbps)で伝送可能な、低コストかつ低消費電力のミリ波無線チップを開発している。さらに重要なのが、同社には、そのままの状態で即座に使用可能な、超小型の非接触コネクティビティモジュールがあるという点だ。

 Keyssaは、このミリ波無線チップを、収益性の高い事業として位置付けている。同社の使命は、既存のコネクターを、低コスト、低消費電力と信頼性を実現するコネクターで置き換え、機器メーカーが、Keyssaのモバイルシステムをはじめとするさまざまなシステム製品において実装できるよう、引き付けていくことにある。

成熟したコネクター業界で、チャンスはあるのか

 しかしここで、大きな疑問が1つ浮かび上がる。「Keyssaの技術は、現在誰もが既に使い慣れた、十分に実証済みのコネクターに対して、チャンスを獲得することができるのだろうか」という点だ。

 同社は、「業界が、速度に対して飽くことのない競争心を持っているという点が、重要な鍵となる。特に、小型化し続けるフォームファクタにおいて、銅線を使用した高速信号を管理することが、重要な技術課題となっている。システムエンジニアたちは、デバイス間のコネクティビティの代替技術を探し求めている」と主張している。

 Keyssaは、内部接続においてこのような制約が顕著になってきたとみているようだ。伝送する信号量が多くなってきた場合、ボード間の通信や、カメラとアプリケーションプロセッサ間の通信を、どのように扱えばよいのだろうか。


KeyssaのEric Almgren氏 出典:Keyssa

 米国EE Timesは、KeyssaのCEO(最高経営責任者)であるEric Almgren氏に、同社の技術の背景について尋ねた。

 Almgren氏は、Silicon Imageの創設者だ。これまで自らがサポートしてきた技術を適用して、是非はさておき実行してきたあらゆるものを活用し、第二のチャンスを獲得することに成功した、数少ない幸運な技術経営幹部の1人だといえる。同氏は現在、別の企業において、一からやり直し始めたところだ。

 Almgren氏は11年間にわたり、Silicon Imageを率いてきた。HDMIを開発するという圧倒的な成功を収めた経歴を持ち、市場において勝利を獲得するには何が必要なのかを知り尽くした人物だ。同氏は、顧客企業たちが、新しいコネクティビティ技術に対して最初にどのように取り組むのかを、注意深く見てきた。

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