「iPhone 8」を分解:搭載部品を中心に紹介
2017年9月22日に発売されたAppleの新型スマートフォン「iPhone 8」。10nmプロセス技術を使用した新プロセッサ「A11 Bionic」を搭載し、iPhoneとしては初めてワイヤレス充電に対応した同端末。モバイル機器の修理マニュアルなどを提供するiFixitが分解し、その様子をWebサイトで公開した。
iFixitが早速分解
2017年9月12日に発表されていたAppleの新型スマートフォン「iPhone 8」の販売が2017年9月22日に始まった。
同時発表のiPhone発売10周年記念モデル「iPhone X」(2017年11月3日発売予定)に話題が集中し、新型iPhoneながら存在感が薄くなってしまっているiPhone 8だが、最先端の10nmプロセスを採用しiPhone Xにも搭載されるSoC(System on Chip)「A11 Bionic」やiPhoneとして初採用のワイヤレス充電システムなどその中身で気になる部分は多い。iPhone 8の内部は、前世代モデル「iPhone 7」から大きな変ぼうを遂げているのだろうか。
モバイル機器の修理マニュアルなどを提供するiFixitが発売日当日から早速、iPhone 8を分解し、その様子を公開している。本記事では、メインボードなどを中心にその様子を紹介する。なお、分解の詳細は、iFixitのWebサイトで公開されている。
iFixitによると、iPhone 8に搭載されているバッテリー容量は6.96Wh(3.82V、1821mAh)。前モデルのiPhone 7の搭載バッテリー容量は7.45Whであり、容量は小さくなっていることになる。
メインボードの搭載部品
それでは、メインボードに搭載されている部品を見ていこう。まずは、メインボード表面からだ。
- 赤色:AppleのカスタムSoC「A11 Bionic/339S00434」。同一パッケージにSK Hynixの2GバイトLPDDR4「H9HKNNNBRMMUUR」が積層されている。
- オレンジ色:QualcommのLTEモデム「Snapdragon X16/MDM9656」。
- 黄色:Skyworks「SkyOne/SKY78140」。
- 緑色:Avago(Broadcom)「8072JD130」。
- 水色:「P215 730N71T」(エンベロープトラッキングICとみられる)。
- 青色:SkyworksのクワッドバンドGSMパワーアンプモジュール「77366-17」。
- 紫色:NXP SemiconductorsのセキュアNFCモジュール「80V18」。
ここまでのところ、サプライヤーの顔ぶれは、これまでのモデルと同じようだ。
次にメインボード裏面を見ていこう。
- 赤色:AppleのWi-Fi、Bluetooth、FMラジオモジュール「USI 170804 339S00397」。
- オレンジ色:Apple「338S00248」「338S00309」「S3830028」。
- 黄色:東芝メモリの64GバイトNAND型フラッシュメモリ「TSBL227VC3759」。
- 緑色:QualcommのギガビットLTE RFトランシーバー「WTR5975」と電源管理IC(PMIC)「PMD9655」。
- 水色:Broadcomの「59355」(おそらくワイヤレス充電「BCM59350」の改良版)。
- 青色:NXP「1612A1」。
- 紫色:Skyworks「3760 3576 1732」「762-21 247296 173」。
(出典:iFixit)
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