JDI再建の命運握る「FULL ACTIVE」をアピール:狭ベゼル液晶
ジャパンディスプレイ(JDI)は2017年9月26日、都内で会見を開き、構造改革の進展状況を説明するとともに、2017年6月に量産を開始した狭ベゼル(額縁)の液晶ディスプレイモジュール「FULL ACTIVE(フルアクティブ)」を公開した。
FULL ACTIVEは、長く続く基盤技術
業績の低迷により経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は2017年9月26日、構造改革策の進展状況に関する説明会を開催し、業績回復に向け期待を寄せる液晶ディスプレイ(LCD)モジュール「FULL ACTIVE(フルアクティブ)」をメディア向けに公開した。
FULL ACTIVEは、ディスプレイの四方のベゼル(額縁)を0.5〜0.6mm幅に細くし、狭額縁化したLCDモジュールの技術、製品の名称。同じく狭額縁、全面ディスプレイが特長の1つになっている有機ELディスプレイ(OLED)に対抗するLCDだ。JDIでは、2年ほど前から開発に着手し、2017年6月から量産を開始。Xiaomi(小米科技/シャオミ)のスマートフォン「Mi MIX 2」に採用されている。
JDI会長兼CEOの東入來信博氏は、FULL ACTIVEについて「(2017年8月9日に公表した)中期経営計画で示した通り、2018〜2019年度の収益に大きく貢献する製品」と位置付けており、JDIの経営再建の行方を左右する製品といえる。
中国スマホメーカー中心に強い引き合い
2017年10月1日発足のモバイルカンパニー社長に就任予定の常務執行役員 永岡一孝氏は「FULL ACTIVEへの引き合いは強い。多くの中国メーカーとの商談を進めており、今後、いくつかのメーカーからFULL ACTIVEを搭載したスマホが登場する」と順調さをアピールした。
また、永岡氏は、FULL ACTIVEの用途はスマホ以外にも車載やノートPC、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型のVR(仮想現実)端末などにも広がると強調。特に車載用途では「ルームミラーなど保安部品にディスプレイを用いる場合、死角を減らさなければならず、狭額縁のFULL ACTIVEが不可欠になる」と述べ、「FULL ACTIVEは、長く続く基盤技術になる」と普及拡大に自信を示した。
車載などでの成長に向けカンパニー制導入
車載やVR端末などスマホ以外の領域での事業強化を狙いJDIは2017年10月1日付で、用途市場別、顧客属性別のカンパニー制へ移行する。事業部門を、モバイルカンパニー、車載インダストリアルカンパニー、ディスプレイソリューションズカンパニーの3カンパニーに再編。「組織をコンパクトにして迅速な経営を行う。権限も委譲し、各カンパニーが収益責任を明確に背負い事業を進めていく」(東入來氏)との狙いだ。
なお、中期計画で2019年度の開発完遂を掲げるOLEDについては、社長直下の組織で事業開発を進める。東入來氏は「OLEDは蒸着方式、印刷方式の両方の開発を進める。そして、OLEDリーディングカンパニーを目指す」と改めて述べた。
損益分岐点売上高を6500億円に引き下げるなどの目標を掲げ、2017年度中の完遂を目指す構造改革の実施状況に関しても、順調さを強調。構造改革の柱である過剰生産能力の適正化では、能美工場第5.5世代ラインを予定通り2017年12月に生産停止できるとの見通しを明らかにした。その上で、同ラインの生産停止後の活用法について言及。「印刷方式のOLED製造ラインを整備する方向で、JDIグループとして2017年9月から検討プロジェクトチームを立ち上げた。まだ決まったわけではないが、順調に進めば来年(=2018年)の今ごろには、設備の搬入作業がピークを迎えているだろう」(東入來氏)と見解を述べた。なお、分散していたOLED試作ラインの茂原工場への統合は「既にほとんどの作業を終えた」(東入來氏)とした。
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