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モノマネする人工知能 〜 自動翻訳を支える影の立役者Over the AI ―― AIの向こう側に(16)(3/10 ページ)

最近の機械翻訳の発展には目を見張るものがあります。なぜ、ここまで進化しているのでしょうか。AI(人工知能)による翻訳、通訳を取り上げ、その発展の理由を探ってみると、その根底には、あるパラダイムシフトが存在していたことが分かりました。

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「AI」を名乗る必要もない? 超古典アプリケーション

 こんにちは、江端智一です。今回は、「自動翻訳」についてお話致します。

 最初に、翻訳と通訳の違いについて、はっきりさせたいと思います。

 基本的には「翻訳」と「通訳」の違いは、訳す対象が「文章」か「口述」かの違いになります。

 また、人間の場合は、翻訳と通訳に要する時間は大きく異なりますが、最近のコンピュータの性能は非常に高くなっており、文字翻訳であろうと、ほぼリアルタイムで翻訳結果が得られます*)

*)昔はメールで原文を送付すると、翌日にメールで翻訳文が戻ってくるサービスが、普通でした(本当です)。

 世の中で使われている「翻訳」と「通訳」の使用の頻度もかなり違うようです。以下は、Google検索によるヒット数をグラフにしたものですが、「翻訳/translation」の方が、「通訳/interpretation」よりも多いことが分かります。

 ここから、"通訳"というものがあまり日常的でなく、"翻訳"というタスクの方が、日本でも海外でも身近な存在であることが分かります。

 さらに、コンピュータを使った"翻訳"や"通訳"が、どのような表現(例:"機械翻訳"、"AI interpretation"など)で使われているのかも調べてみました。

 まず、基本的に「機械翻訳」とは言われても「機械通訳」とはあまり言われていないようです(観点1)。また、「AI」を冠するケースは、日本語の方が圧倒的に多いです(観点2、3)。これは、「なんでも"AI"を付けちゃおう」(関連記事:陰湿な人工知能 〜「ハズレ」の中から「マシな奴」を選ぶ)という、日本人の気質の表れのように思えます。

 そもそも、「翻訳」や「通訳」は、コンピュータの発明と同時に、研究開発が始まった、超古典アプリケーションなので、今更"AI"を冠する必要もないのでしょう(観点3)。

 さて、近年のコンピュータやネットワークの性能を鑑みて、今回のコラムでは、「通訳」は「翻訳」の範囲に入れてしまい、以下、「翻訳」という用語だけを使うこととします。

 また、毎度のことですが、「『自動翻訳』が"AI技術”なのかどうか」については、今回も『江端AIドクトリン』に基づいて私が"AI技術"と決めます。

 さて、冒頭のスマホのアプリ「Microsoft 翻訳」などを見ていると、近い未来に、翻訳者や通訳者の人たちの失業が確定し、私たちは、母国語(日本語)だけで世界中とコミュニケーションできるパラダイスがやってくる ―― かのようにも思えます。

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