Microsemi、新たなHBA/RAIDアダプタ製品群を発表:20品種でファームウェア統一
Microsemi(マイクロセミ)は2017年11月2日、12Gビット/秒(bps)SAS/SATA対応ホストバスアダプター(HBA)、RAIDアダプターの新製品群を発表した。
28nmプロセスのコントローラーICで性能向上
Microsemi(マイクロセミ)は2017年11月2日、新しい12Gビット/秒(bps)SAS/SATA対応ホストバスアダプター(HBA)、RAIDアダプター製品群を発売したと発表した。28nm世代半導体製造プロセスを用いたストレージコントローラーICを採用し、従来製品から4割程度、消費電力を削減し、IOPS(I/O Operations per Second)性能も最大1.7倍に高めた。また、HBAからキャッシュメモリを搭載したRAIDアダプターまで全製品で共通ファームウェアを使用し、互換性を持つ点も特長となっている。
新製品群は、HBAの「Adaptec HBA1100シリーズ」「同SmartHBA2100シリーズ」と、RAIDアダプターの「同SmartRAID3100シリーズ」と3つの製品シリーズで構成される。ストレージコントローラーICとして、HBA1100/SmartHBA2100シリーズは「SmartIOC2100」を、SmartRAID3100シリーズは「SmartROC3100」を搭載する。いずれのストレージコントローラーICも先端の28nmプロセスを採用したICであり、従来品に比べ、低消費電力化と高性能化が図られている。消費電力については「競合の12Gbps SAS/SATA対応HBA/RAIDアダプターと比べても、35%ほど低くなっている」(Microsemi データストレージプロダクトマネジメント&ストレテジーダイレクター Mark Orthodoxou氏)と主張する。
Orthodoxou氏は「新製品は3シリーズ合計で20品種を数える。3シリーズは、高性能なストレージコントローラーソフトウェアである『Smart Storageファームウェア』を共通して採用し、高い互換性を持つ。こうした統一された製品を豊富にラインアップしているという点も新製品の大きな特長だ」と語る。
低消費電力品から大容量キャッシュ搭載品まで
HBA1100シリーズは、ソフトウェアディファインドストレージ(SDS)やコールドストレージ向け製品群。「超大型のデータセンターでは、データセンターごと冗長性を担保するような構成を用いるケースが増えており、RAID機能を必要とせず、HBAの需要は伸びている」とし、機能を絞りながら消費電力を抑えている点が特長。採用が拡大している瓦記録(Shingled Magnetic Recording/SMR)方式のHDDに最適化した記録もサポート。IOPS性能は最大170万、最大24ポートまでの製品をそろえる。
SmartHBA2100シリーズは、HBA1100シリーズの全機能に、エントリーレベルの基本的なRAID機能(RAID0/1/10/5)を備えた製品群。最大24ポート品までそろえ「8ポート以上をサポートする業界唯一の基本RAIDソリューション」(Orthodoxou氏)と、その特長を説明する。また、HBA構成とRAID構成を併用できる「ミックスモード」を備えている。
3シリーズで最もハイエンド製品となるSmartRAID3100シリーズは、HBA1100/SmartHBA2100シリーズの機能に加え、RAID50/6/60/1ADM/10ADMに対応し、最大4Gバイト容量のキャッシュメモリを搭載する。キャッシュバックアップ回路を備え、バッテリーを接続するだけでキャッシュバックアップシステムを構築できる(キャッシュバックアップ回路未搭載カードもある)。さらに最大2TバイトのSSDをキャッシュとして利用できる機能「maxCache4.0」も備えている。
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