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意味不明の「時短」は、“ツンデレ政府”のSOSなのか世界を「数字」で回してみよう(45) 働き方改革(4)(7/11 ページ)

「働き方改革」において、「生産性」に並ぶもう1つの“代表選手”が「時短」、つまり「労働時間の短縮」ではないでしょうか。長時間労働の問題は今に始まったことではありませんが、どうしても日本では「時短」がかなわないのです。それは、なぜなのでしょうか。

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会社にとってのコスト的メリット

 また、長時間労働は、会社にとってもコスト的にメリットがあります。

 一般的に、残業をさせれば残業代が発生しますので(ただし、管理職にさせれば定額制(使いホーダイプラン)になることが多い)、普通に考えれば残業させずに、残業代を支払わない方が、会社にはコストメリットとなるようにも思えます(下図)。

 しかし、一般的に、「誰でもできる仕事を提供する会社」というものは存在しません。

 一定の専門分野に秀でた会社(例:技術系の製造会社)においては、専門知識は人に依存しますので、それを、専門知識のない者にやらせると、逆にコスト高になるのです。

 上記のケースでは、単純に普通の労働者と比べて、たった1.69倍以上の専門性がある労働者であれば、残業させて限界まで働かせた方が、会社にとってコストが安くなることになります*)

*)もし私が、「他人の考えた発明について特許明細書を書け」と言われたら、通常の5倍以上の時間が必要になるはずです。

 どんな会社であれ、専門性を持っているはずです。そして専門性を持っている以上、長時間労働は、会社にとって常に最適戦略なのです。

 それでは、このような、「長時間労働を肯定するロジック」が山ほど成立する中にあって、政府はなぜ、「働き方改革」で、時短を推進したいと思うのかを、考えてみましょう。

 当初、私は、政府が時短を進める理由は、若者の結婚率を上げて、子ども(労働者兼納税者)を量産させる体制を進めるためだと思っていました(その計算のためのシミュレーションプログラムまで作りました)が、私のこの仮説は、このページのグラフで頓挫しました。

 ひと言で言うと、「裕福な国になると出生率は必ず低下する」という事実が、このデータから明らかであったからです。

 さらに、ドイツとフランスは、その出生率において大きな差があるのにもかかわらず、両国ともに時短の成果において世界トップクラスです。

 つまり、「時間が余りさえすれば(恋愛して、結婚して、SEXして)子どもを作るはず」という仮説は、棄却せざるを得なかったのです。

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