ここまできた!日本のエネルギーハーベスティング:熱電素子から下水監視の展示まで(3/3 ページ)
「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」で、エネルギーハーベスティングコンソーシアムがブースを出展。エネルギーハーベスティング技術を持つ国内企業、団体が共同展示を行った。
熱電素子により電池寿命が5年に伸びた下水道氾濫検知ソリューション
富士通研究所と富士通九州ネットワークテクノロジーズは共同で、マンホールふたの裏に取り付ける下水道氾濫検知ソリューションを展示。局所的な集中豪雨などによる下水道の氾濫を、遠隔地からリアルタイムに監視することができる。
同社のセンサーネットワークIoTプラットフォームである「QSIP(Qnet Sensor IoT Platform)」によって本ソリューションは構築され、水位センサーから得られたデータは920MHz特定小電力無線により、街路灯などに設置されたゲートウェイに送信され、ゲートウェイからセルラー通信でクラウドに収集される。
また、QSIPは独自の省電力制御を特長としており、マンホールふたの裏に取り付けるセンサーノードは単三乾電池2本で1年以上の稼働を実現したという。この省電力技術と独自開発の熱電変換ユニットを組み合わせることで、電池の寿命をさらに5年へ延長することが可能になった。
マンホールふたは夏場に最大70℃程度、マンホール内部空気も最大60℃程度の温度上昇があり、マンホール内部空気に放熱する通常の放熱フィンヒートシンクでは、熱電素子の温度差が確保できず発電量が低下する問題がある。
この問題を解決するため、熱電変換ユニットのヒートシンクはカバーによって囲われており、放熱フィンとカバー内に日中気温と同程度の融点を持つ蓄熱材が封入されている。これにより、マンホール内部空気に接する以上に熱電素子の温度差が確保できるため、通常の放熱フィン型構造と比較して、5倍以上の発電量を実現したという。
この下水道氾濫検知ソリューションは福島県郡山市の下水道に導入済み。今後はエネルギーハーベスティングによる発電量の拡大や、LoRaなどの各種LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークに対応していくとする。
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