自動運転バスが丸の内を走る! ソフトバンクが試乗会:片道40mを時速5kmで…でも速い
ソフトバンクと三菱地所が、東京 丸の内で自動運転車両の試乗会を行った。フランスNavya製の自動運転専用の電気自動車「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」を使用し、片道40〜100mを時速5kmで往復。自動運転車両が東京23区内の公道を走るのは、「今回が初めて」(ソフトバンク)だという。
自動運転シャトルで丸の内を走る
ソフトバンクと三菱地所は2017年12月22日、東京都千代田区の丸の内仲通りにて、プレスおよび一般乗客を対象に、自動運転シャトルバスの試乗会を実施した。ソフトバンクによると、東京都の23区内の公道を自動運転車両が走行するのは今回が「初めて」だという。
今回シャトルバスとして使用したのは、フランスNavyaが開発した自動運転専用の電気自動車「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」。自動運転レベル4(特定された領域においてシステムが全ての運転作業を行う)のコンセプトカーである。ソフトバンクのグループ会社で次世代モビリティサービスの事業を手掛けるSBドライブが所有しているものだ。座席数11、立ち乗り4人の計15人が乗車できる。15kWのモーターを1基搭載していて、理論上の最高時速は45km、走行時間は最長で13時間だ。NAVYA ARMAは、既に25カ国で10万人以上が試乗していて、世界中で60台が走行しているという。
NAVYA ARMAは、ライダーとGPS(全地球測位システム)によって自己位置を測定し、自動走行する。ライダーでは車両の周囲の地形を読み取る。GPSでは、数センチ単位で位置を測定できるRTK(Real Time Kinematic)-GPS技術を採用している。ただし、試乗会では、周囲の高層ビル群によってGPSが使用できないことから、ライダーのみを使用していた。
プレス向けの試乗会では、仲通りの片道40mを最高時速5kmで往復。一般乗客向けの試乗会では、片道100mを往復した。車両は非常に静かで、乗り心地は一般的なクルマと変わらない。決まった通りをぐるぐると巡回するだけでも、かなり便利になるのではないかと感じた。ただ、試乗会が始まる前に、車両トラブルにより、使う車両を別のものに交換するというハプニングもあった。ソフトバンクは、トラブルを引き起こした可能性のある要因の1つとして、センサーに直射日光が当たるとうまくセンシングできなくなることを挙げていた。車両自体に改良の余地もありそうだ。
なお、NAVYA ARMAは自動運転レベル4のコンセプトカーではあるが、今回の試乗会で使用した際は、スタートさせるオペレーターが同乗していたので、ソフトバンク広報は「実際はレベル3の自動運転とイメージしていただければ」と述べていた。
三菱地所は試乗会において、「より快適な丸の内エリアを目指して町づくりを進めている。今回の自動運転シャトルの試乗会もその一環であり、その他にもAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった最新のテクノロジーを積極的に導入していきたい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “B5サイズの電気自動車”が13万円で予約開始
日本のスタートアップCOCOA MOTORSは、同社が開発した、13型ノートPCと同等サイズの電気自動車「WALKCAR」の一般予約を開始した。価格は12万8000円。どうする! 買っちゃう!? - デンソー、自動運転の判断を担う新プロセッサ開発へ
デンソーは2017年8月8日、自動運転システムに向けた新しいプロセッサを開発する子会社を設立すると発表した。CPUやGPUといったプロセッサとは異なる新しいプロセッサを開発し、半導体IPとして広くライセンス販売する計画。 - ルネサスの「レベル4対応自動運転車」に試乗
ルネサス エレクトロニクスは、自動運転レベル4に対応する自動運転車の試乗会を東京都内で行った。安全な自動走行に加えて、「半導体の故障」や「サイバー攻撃」にも対応する機能を搭載している。 - 自動運転車は“共有”されなければ無意味だ
自動運転車の開発が加速する一方の今、「自動運転車が、なぜ必要なのか」について、あらためて考えるべきなのかもしれない。フランスの新興企業AutoKabは、走行距離ベースの自動運転サービスを、公共交通機関向けに展開しようとしている。 - 自動運転実現の鍵を握る、注目すべき新興企業9社
自動運転車の開発は、自動車メーカーや半導体メーカー、ソフトウェアメーカーなどが連携して取り組むことが、もはや常識になっている。とりわけ際立っているのが新興企業の存在だ。彼らに共通するのは、自動運転に必要な、極めて高度な知識と技術を有しているということである。 - 「タコ」なのか、柔らかロボを作り出す
米Harvard Universityの研究チームは、2016年8月24日、硬い部分を持たないタコ型のロボット「octobot」を試作したと発表。内部の化学反応によってエネルギーを得て自律的に動き、この化学反応が制御装置を兼ねていることが特徴だ。エンベデッド3Dプリント技術を応用して作り上げた。