量産車向けは絶対に明け渡さない――ルネサス呉CEO:特集「Connect 2018」(4/4 ページ)
ルネサス エレクトロニクス社長兼CEOの呉文精氏は2017年12月25日、インタビューに応じ、投資方針や自動車向け事業でのルネサスの事業姿勢、2018年の経営方針などについて語った。
車のボリュームゾーンはおさえていく
――自動運転に向けたAIプラットフォームとして、NVIDIAがトヨタ自動車と協業するなど注目を集めています。
呉氏 NVIDIAやIntelもそうだが、彼らは、大電力を使いものすごい性能を出すという方向から降りてきている。どちらかというと、われわれは下から上に上がっていくイメージだろう。
われわれとしては、車のボリュームゾーンはおさえていく。
NVIDIAは、研究開発費をゲーム機などで割り算するので、少数のものでもハイエンドの一部には対応できる可能性はある。だが、50万円や100万円の自動運転エンジンを搭載できる1台1000万円、2000万円もする自動車は、そんなに数は売れない。
技術革新で、(NVIDIAとルネサスの)境界線は移動する可能性があるが、今は、NVIDIAやIntelが手掛けていることは、ものすごくハイパフォーマンスだが、ものすごく電力を使って、ものすごく(価格が)高く、少なくとも1000万円以上の車にしか搭載できないもの。彼らは、これから消費電力を下げて、やってくるだろう。
ルネサスは、非常に消費電力が低く、機敏に計算できるところから、段々上に上がっていこうとしている。
どの時点で、自動運転レベル3やレベル4を実現した車が量産車になるのか。2030年にレベル4の車は何台走っていて、1台いくらになっているのだろうか。われわれは、量産にならないようなものを取りに行こうとは思わない。今見えている量産車種に行く。われわれは、量産のところにについては、絶対に明け渡さないというつもりでやっている。ものすごく電力を消費するという部分は、やらない。
まいた種を育てる
――2018年の展望、抱負をお聞かせください。
呉氏 2017年に仕込んだことは多かった。Intersilの買収や、新組織への移行もあった。デザインインについても、相当、自動運転やEV(電気自動車)関連で獲得できた。長城汽車(Great Wall Motor)やMahindra & Mahindraなどと包括的な提携を結んだ。
特に脱線してしまって、早急に手当てしなければならないということもない。
そういう意味では、2018年は、2017年にまいた種を収穫までには至らないものの、しっかり育てていきたい。足元の財務的な健全性を維持しながら、実行していきたい。
マーケット全体としては、非常にポジティブに見通している。だから、われわれとしては、方向性を見誤らないことが重要。ビジネス機会を探すというよりも、ビジネス機会がたくさんありすぎるので、どこにエンジニアリソースを投入するかを見誤らないようにしたい。
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