R-Car V3Mスターターキット、ルネサスが発売:車載カメラシステムの開発を加速
ルネサス エレクトロニクスは、車載カメラ用のアプリケーション開発に向けた「R-Car V3Mスターターキット」を発売する。ディープラーニングを取り入れたNCAP向け車載カメラシステムなどの開発を、効率よく行うことが可能となる。
エコシステムパートナーのツールやソフトウェアも活用
ルネサス エレクトロニクスは2017年12月25日、車載カメラ用のアプリケーション開発に向けた「R-Car V3Mスターターキット」を開発したと発表した。2018年第1四半期(1〜3月)より出荷を始める。
R-Car V3Mスターターキットには、自動車の安全性を評価するテスト「NCAP(New Car Assessment Program)」向けフロントカメラアプリケーションやサラウンドビュー、LiDAR(ライダー)システムなどに対応できるSoC(System on Chip)「R-Car V3M」が搭載されている。
R-Car V3Mは、独自の画像処理エンジン「IMP(Image processor)」やディープラーニングに対応するニューラルネットワークエンジン「CNN(Convolutional neural network)」などが組み込まれたSoCである。このため、道路標識の内容を認識するなどNCAP向けアプリケーションにも対応できる処理性能を備えている。
同スターターキットは、2GバイトのDDR3L RAM、eMMC(embedded MultiMediaCard)、イーサネット、ディスプレイ、デバッグ用インタフェースなどを搭載している。複数カメラを用いたサラウンドビューなどのアプリケーション開発に向けて、440端子の拡張ポートも用意した。
同スターターキットは、Linux OSに対応しているため、Linuxの豊富なオープンソフトウェアを活用してアプリケーション開発を行うことができる。また、エコシステムパートナーのツールやソフトウェアを利用することもできる。例えば、コンピュータビジョンのアルゴリズム開発には、Codeplayが提供するADASシステム開発向けOpenCLフレームワークを用いることができる。
さらに、IDE(統合開発環境)である「e2Studio」も利用できる。このため、HELLA Aglaiaが提供するフロントカメラシステム用のソフトウェアや、Cogentが提供する3Dサラウンドビュー・自動駐車システム用ソフトウェアなどを活用することが可能となる。
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