NVIDIAのAI技術、Uberが自動運転車に採用へ:CES 2018(2/2 ページ)
NVIDIAは「CES 2018」のプレスカンファレンスで、Uber Technologiesの自動運転車に同社のAI(人工知能)技術が採用されると発表した。自動運転分野におけるNVIDIAの快進撃は止まらないようだ。
2つのソフトウェアプラットフォームも発表
しかし、NVIDIAのAI戦略のバックボーンは、特定の1種類のSoC(System on Chip)ではない。むしろ、同社の「Drive PX」プラットフォームである。このプラットフォームは、自動運転車の開発向けに設計されたものだ。ディープラーニング、センサーフュージョン、サラウンドビジョンを備えている。同プラットフォーム上に構築されたソフトウェアスタックは、車両周辺で何が起こっているかをリアルタイムで把握し、高精細なマップ上での自己位置を正確に判断し、安全なルートを計画する。
VIS Labsの創設者で主任を務めるPhil Magney氏によれば、NVIDIAのDrive PXプラットフォームは、レベル4の自動運転車やロボタクシーを開発するメーカーにとって理想的だという。
NVIDIAの発表に合わせて、UberはAIを搭載した自動運転車や自動運転トラックを発表した。これらは既に、200万マイル(約321万km)を自動走行したという。NVIDIAのShapiro氏は、この200万マイルのうち100万マイルは、ここ100日間で走行したものだと話した。
NVIDIAはプレスカンファレンスで、Xavier上で動作する2つのソフトウェアプラットフォーム「Drive IX」「Drive AR」も発表した。Drive IXは、クルマに搭載されたセンサーを使って、運転手や同乗者向けにAIアシスタント機能を開発するものだ。UI(ユーザーインタフェース)やコックピット、さまざまなアシスタント機能を開発するのに適しているという。一方のDrive ARは、AR(拡張現実)向けの開発キットである。
最新のXavierについてShapiro氏は「2000人のエンジニアが開発に加わり、20億米ドルを投資した」と明かしている。NVIDIAは、完全な自動運転を行うロボタクシーにどれだけ高性能のAIコンピューティングシステムが必要になるかを、十分に理解しているようだ。
この最新のXavierは、NVIDIAのAIコンピューティングプラットフォーム「Pegasus」の主要部品になるとしている。Pegasusは2個のXavierと、2個の次世代GPUで構成されている。演算性能は320TOPS(Trillion Operations Per Second)とする。2018年半ばにサンプル出荷を開始する予定だ。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「EyeQ5とXavierの比較が不適切」 NVIDIAが反論
「Intelが車載関連のイベントで示した、Intel『EyeQ5』と、NVIDIA『Xavier』の比較が不適切だ」――。NVIDIAから、EE Timesにこのような電話が入った。一体、どういうことなのだろうか。 - 「ムーアの法則は終わった」、NVIDIAのCEOが言及
台湾・台北で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」で、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は、「ムーアの法則は終わった。マイクロプロセッサはもはや、かつてのようなレベルでの微細化は不可能だ」と、ムーアの法則の限界について言及した。 - トヨタがNVIDIAのAI技術を採用、Intelに焦りか
2017年5月10日、トヨタ自動車がNVIDIAのAI(人工知能)プラットフォームを採用する計画を明かした。自動車用AIプラットフォームを巡っては、Mobileye買収をするIntelと、NVIDIAが激しく競り合う。トヨタの採用でNVIDIAの優勢が明白になったが、勝敗の決着はまだ先のようだ。【訂正】 - NVIDIAがエネルギー効率の高い相互接続技術を解説(後編)
相互接続(インターコネクト)に電荷再利用型バス(Charge Recycling Bus)を利用すると、エネルギー効率を高めることができる。だが、電荷再利用型バスにも弱点は存在する。今回は、電荷再利用型バスの課題とそれを解決する技術を紹介しよう。 - 「CES 2018」注目すべき4つのトレンド
コンシューマーエレクトロニクス関連の見本市では世界最大規模の「CES 2018」が、2018年1月9日からラスベガスで開催される。CES 2018で注目すべきトレンドを4つ紹介する。 - 儲からない人工知能 〜AIの費用対効果の“落とし穴”
AI技術に対する期待や報道の過熱が増す中、「抜け落ちている議論」があります。それが、AIの費用対効果です。政府にも少しは真剣に考えてほしいのですよ。例えば「荷物を倉庫に入れておいて」と人間に頼むコスト。そして、AI技術を搭載したロボットが「荷物を倉庫に入れておく」という指示を理解し、完璧にやり遂げるまでに掛かるトータルのコスト。一度でも本気で議論したことがありますか?