「RISC-V」はEmbeddedでマーケットシェアを握れるのか:RISC-V Day 2017 Tokyo(3/5 ページ)
2017年12月に開催された「RISC-V Day 2017 Tokyo」から、著者が注目した4つの講演を紹介する。
RISC-Vと親和性が高いアーキテクチャを開発する台湾ベンダー
2つ目はAndes TechnologyのCharlie Hong-Men Su博士(写真13)のセッションから。Andes Technologyは台湾ベースのCPU IPのベンダーで、意外に(というと失礼だが)多くのクライアントを持つ。創業は2005年と比較的若い会社であるが、「AndeStar V1」〜「同V3」という独自のアーキテクチャと、これを実装した「N7」〜「D15」までのさまざまなIPを提供している。特にN7〜N9のMCU IPは多くの機器で採用されているとする(写真14)。
これまでは独自のISAとこれをサポートするアーキテクチャやIP、そしてソフトウェア環境を提供してきた訳だが(写真15)、2017年5月にまずRV64IをサポートしたAndeStar V5アーキテクチャと、これを実装したAndesCore NX25を発表する(参考リリース)。
TSMCの28nmプロセスで67KGateという規模、そして1GHz以上の動作周波数と17μW/MHzという比較的低めの消費電力がアピールされており、この当時は「32bitは既存のままで、64bitのみRISC-Vに乗り換えた」と筆者は理解していた。ただ実際には同時にRV32Iに基づくAndeStar V5mも開発されていたようで、こちらを実装したAndesCore N25もラインアップに加わり、2017年11月にはImperas/Lauterbach/Mentor/UltraSoCといったベンダーによるサポートも加わっている(参考)。
さて、Su博士によればRISC-V(RV32I/RV64I)は、AndeStar V3と非常に親和性が高かったとする(写真16)。ただ、だからといってAndeStar V3ベースのコアのデコーダー部だけを入れ替えたのではなく、やはりフルスクラッチで開発したとの事(写真17)。性能は写真18の通りで、50MHz程度を狙うのであればゲート数も30K、TSMCの28nmで0.024mm2だから、そう悪い数字ではない。ちなみにAndesではDSP拡張を自身で行っており、これを利用することで110%の性能改善が実現したとしている(写真19)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.