「エッジにもAIを」、MediaTekの戦略:スマホ依存から脱却(2/2 ページ)
スマートスピーカーやスマートライトなどが台頭する中、MediaTekは、クラウドだけでなくエッジにもAI(人工知能)を搭載することを目指すという。
「エッジにもAIを」
「Amazon Echo」や「Google Home」のように、音声認識などのAI(人工知能)を搭載したスピーカーが台頭している。
ただ、Ku氏によれば、MediaTekは、こうしたスマートスピーカー向けにチップを開発するだけでは満足しないという。
Amazonは、Amazon Echoでクラウドに注力しているのとは対照的に、MediaTekは“エッジとクラウド”の両方に注力しようとしている。
MediaTekは、AIを、照明スイッチなどの小さなデバイスにも統合することを目指している。ニュースなどによれば、スマートスピーカーのユーザーは、スマートスピーカーに“電気(照明)を消して(あるいはつけて)”と言うことが多いという。Ku氏は「ならば、照明スイッチにAIを統合してもいいのではないか」と問いかけた。
Ku氏は、「照明のスイッチをスマートフォンでオン、オフするというアプリケーションは、出てきた当初こそ、ユーザーは面白がっていたが、数日もすれば“わざわざスマートフォンでオン、オフしなくてもいい”と思い始めていた。だが、音声でオン、オフできるようになれば全く別の話になると思う」と述べている。
そうしたAI搭載の照明スイッチに必要なのは、小型のDSPとニューラルネットワークだ。しかもこのニューラルネットワークは、わずか20〜30個のキーワードを認識できれば、それで十分だという。DSPは、ディープラーニングのアクセラレーターとしての役目を果たす。MediaTekは、エッジにAIを搭載することで、チップを販売するターゲット市場の裾野を広げようとしているのだ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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