MediaTek、7nmチップの製造先をTSMCに決定:EUV導入予定のプロセス
MediaTekが、7nmチップの製造委託先としてTSMCを選んだ。具体的な製造計画は明らかにしていない。MediaTekは、「EUV(極端紫外線)リソグラフィを導入するTSMCの7nmプロセスは、競争力がある」としている。
7nmチップの製造先をTSMCに
台湾のMediaTekは、7nmプロセスを適用するチップの製造委託先をTSMCに決定したと発表した。
MediaTekは7nmチップの具体的な製造計画は明らかにしていないが、「新しいプロセスノードの製造でもTSMCと緊密に協力していく」と述べている。
MediaTekの新共同CEO(最高経営責任者)であるRick Tsai氏は、台湾の新竹サイエンスパーク(Hsinchu Science Park)の本社で開催した投資家向けイベントで、「TSMCとMediaTekはともに、低消費電力コンピューティングに注力している。TSMCの最先端技術のサポートを受けて、新しいビジネスを生み出したいと考えている」と語った。
Tsai氏は、2005〜2009年までTSMCのプレジデント兼CEOを務めた。つまり同氏は、世界最大のファウンドリーのトップから重要な顧客へとなったわけである。
Tsai氏は、「TSMCのEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術を適用した7nmプロセスは、極めて競争力が高いと考えている」と評している。
このMediaTekの選択からも、TSMCが7nmチップのファウンドリーとして、ライバルのSamsung Electronicsよりも優位に立っていることがうかがえる。報道によると、MediaTekのライバルであるQualcommも、スマートフォン向けSoC(System on Chip)「Snapdragon」シリーズの7nmチップの製造委託先にTSMCを選んだようだ(関連記事:Qualcomm、7nmチップ発注先をTSMCに切り替えか)。Qualcommは2017年に、「世界初」(同社)となる10nmチップを製造しているが、この委託先はSamsung Electronicsだった。
Tsai氏が、自身の前歴を利用してTSMCに圧力をかけ、価格交渉したり、チップの製造委託先を別のファウンドリーに移行したりすることも考えられる。だが、こうした臆測に反して、TSMCとMediaTekとの関係は良好であるようだ。
新竹で開催されたイベントで、Tsai氏はMediaTekのチェアマンであるM. K. Tsai氏と同席していたが、「われわれは、製造工場の戦略についてはあまり話し合っていない」と述べた。「ただし、TSMCが当社の戦略的パートナーであることは間違いない」と述べている。
Rick Tsai氏は、「もちろん、他の製造委託先との提携も継続する」とも話している。
なお、Rick Tsai氏とM. K. Tsai氏は親族関係にはない。両氏はMediaTekの共同CEOを務め、M. K. Tsai氏は会長も兼任している。
MediaTekは、2017年初めにQualcommにシェアを奪われたモバイル事業の回復を目指している。MediaTekは中国の携帯電話機市場で数年間にわたりQualcommからシェアを奪う勢いで成長してきたが、2017年に入ってから製品のアップグレードのペースが鈍化し、LTE Cat 6以降に対応したモデムは発表していない。
一方のQualcommは、LTE Cat 16に対応したSoC(System on Chip)「Snapdragon 835」を発表している。同SoCは、10nmプロセスを採用している。MediaTekは、2017年にLTE Cat 7対応を、2018年にLTE Cat 12対応のチップを発表する予定だとしている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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