期待の2020年へ、2018年は準備の年 ――座談会編2:IHSアナリスト「未来展望」(9)(2/2 ページ)
IHS Markit Technologyのアナリスト5人が2018年の半導体市況と半導体のアプリケーション市場の展望を語る。
Appleも価格に苦しむ
EETJ 今後のスマホ市場はどのようになりそうですか?
李氏 もう低価格化の時代に突入するでしょう。「iPhone 8」の売れ行きを見ても、10万円近いハイエンドの端末に、消費者は飽きてきている。Appleといえども、これからは価格的に苦労することになる。
棚町氏 個人的な話だが、iPhone Xを買おうと思ったが、大きいサイズしかなく、購入を断念した。サイズ的にもスマホは大きくなりすぎの感がある、人の手や顔の大きさがここ最近で極端に大きくなったとは思わないので、iPhone 8の大きさで十分な印象がある。
南川氏 私は、医療とつながるスマホで病気予防ができるのであれば、10万円以上でも購入したいと思う。
大庭氏 医療コンテンツなどは、先進国であれば受け入れられそう。
李氏 確かに、医療などのサービスの部分で進化していく可能性はある。けれども、そうしたサービスの利用者が、マジョリティ(多数派)になるかどうかは分からない。いずれにしても、スマホのハードウェアという部分は、今後、あまり進化しないだろう。逆に言えば、スマホはかなり完成された究極のハードウェアだと思う。
新車販売台数は減少するものの
EETJ 自動車市場はどうなりそうですか?
棚町氏 ことし2018年は、サブプライム住宅ローン危機、世界金融危機から10年が経過する。自動車の買い替えサイクルが8〜10年とすれば、世界金融危機後の販売台数が落ち込んだ2008〜2009年の自動車が買い替え時期を向かえるわけだ。
当時、自動車販売のテコ入れ策として米国でサブプライムのような低金利ローン優遇が行われたが、現在はそうした低金利でのローンは行えないために、買い替えられないユーザーも出てくるため販売台数は減少することになる。しかし、その代わりに、自動車を個人で所有せずカーシェアリングなど新たな自動車関連のサービスが普及する契機になる。経済的には不安自体は起こらないだろう。
李氏 自動車は、2008〜2009年に販売台数が落ち込んだが、2010年に回復に転じ、2011年に世界金融危機以前の水準に戻った。そうしたことを考慮すれば、2020年ごろの買い替え層の方が大きくなるといつことになるのでは。
杉山氏 IHS Markit 自動車部門も2020年に世界新車販売台数が1億台を超えピークを迎えると予測を出している。
李氏 日本では東京五輪が開催されることもあるが、世界的に2020年に消費が盛り上がるという期待を抱いていることは確か。個人的に2018年は、2020年にジャンプするための準備するための少ししゃがむ時期になるのではと思っている。自動車も、半導体も、スマホも、総合的に2018年は多少悲観的な予測、フラットな成長予測になる。ただ、“新たなもの”が登場すれば、成長する可能性があると思っている。
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