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流行ガジェットは見逃さない、新分野でも着実にシェア伸ばす中国勢製品分解で探るアジアの新トレンド(25)(2/3 ページ)

エレクトロニクス業界の一大トレンドとなっているスマートスピーカー。多数の製品が登場する中、スマートスピーカーに搭載するチップで採用実績を着実に積んでいるのは、中国勢だ。

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評価が高いCOWINの製品

 さまざまな情報がネット上には存在するが、「超コスパ高音質ヘッドフォン」「低価格でナイスな中華ヘッドフォン」「世界が変わるおススメ高音質」などの見出し記事で、2017年には日本でも何度も紹介されたメーカーである。AmazonサイトのカスタマーレビューでもCOWINの製品は星5つと高い評価が多く、ノイズキャンセラー付きワイヤレスヘッドフォン「E7」では77%のユーザーが最高ランクの評価を与えている(2018年2月時点)。

 COWIN DiDaは2つのフルレンジスピーカー(7.5W x 2)と2基のサブウーファーを持ち、再生周波数帯域は50Hz〜20kHzである。分解前に音を出して聴いてみたが、現時点で販売されるスマートスピーカーの中ではトップクラスの音質であった……!! また、電池を内蔵しつつ重さは500g以下なので、室内でも容易に持ち運ぶことができる点でも、秀逸なスマートスピーカーの1つではないだろうか。こちらも参考だが、AmazonサイトのカスタマーレビューでCOWIN DiDaは星5つが93%となっている。

 COWIN DiDaにはAUXライン端子も備わっていて、必ずしもワイヤレスで使わなくてもよい仕様になっている。AUX端子対応のスマートスピーカーとしてはAmazon Echoや日本未発売の「Google Home Max」などがある。Bluetoothや他オーディオとの拡張は、他メーカーの上位機種と同じく、COWIN DiDaにも備わっている。

中国+台湾チップのみで構成されている

 図3はCOWIN DiDaの内部基板の様子である。


図3:DiDaの内部基板。3枚の基板で構成されている 出典:テカナリエ レポート(クリックで拡大)

 内部は3枚の基板で構成されている。1枚目は本体上部のスイッチ基板(図3右上)、2枚目はスピーカー下部にある音声処理用のプロセッサ基板(図3左上)、3枚目は通信処理基板だ。この通信処理基板は、プロセッサ基板に重なって搭載されている。通信処理基板には、台湾製のWi-Fi通信チップが搭載されている。クロックオシレーターからシリアルメモリまで台湾チップが採用されている基板なので、台湾製のモジュールをそのまま採用しているものと思われる。

 スイッチ基板には中国製チップだけが採用されている。深セン市飛翼科技有限公司のタッチキーコントローラーと南京微盟のレギュレーターだ。タッチキー、タッチパッドなどのタッチ系インタフェースには現在多くの中国製チップが使われるケースが増えているが、COWIN DiDaでも中国チップが使われている。

 左上のプロセッサ基板は、表裏にチップを搭載する両面実装になっている。通信処理基板と接する面には、図3左上のように中国3PEAKのオペアンプが採用されている。

 プロセッサ基板の反対の面を示しているのが図4だ。信号処理面には全部で5つのチップ搭載されていて、そのうち3つは中国製チップである。残り2つ(Bluetoothチップなど)は台湾製だ。つまり、COWIN DiDaは中国製と台湾製のチップで構成されている。中国製チップの内訳はシリアルフラッシュメモリ、オーディオアンプ、そして音声認識、音声合成を行うプロセッサになる。


図4:DiDaの内部基板。3枚の基板で構成されている 出典:テカナリエ レポート(クリックで拡大)

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