東芝、メモリなき営業益はトントンだが過去最高益更新へ:2017年度通期業績予想修正
東芝が2018年2月14日に発表した2018年3月期(2017年度)第1〜3四半期(4〜12月)業績と、2017年度通期業績予想の修正を発表した。
メモリ営業利益率は36.9%に
東芝が2018年2月14日に発表した2018年3月期(2017年度)第1〜3四半期(4〜12月)業績は、売上高2兆8003億円(前年同期比1.2%減)、営業利益496億円(同34.9%減)、税引前利益879億円(同36.6%増)、純利益270億円(前年同期は5325億円の損失)となった。なお、2017年度第1〜3四半期決算から、BainCapital(ベインキャピタル)などへ売却する予定のメモリ事業を非継続事業として、売上高、営業損益、税引前損益から除外している。
メモリ事業の2017年度第1〜3四半期業績は、スマホ、SSD向けでの旺盛な需要に加え、メモリ価格が安定的に推移した結果、売上高8756億円(前年同期比37.9%増)、営業利益3227億円(前年同期比3.15倍)と大幅な増収増益を達成。営業利益率は36.9%に達した。その結果、メモリ事業を含めた東芝全社の2017年度第1〜3四半期業績は、売上高3兆5823億円(前年同期比4.7%増)、営業利益3619億円(同99.7%増)となる。
メモリ事業の売却作業の進捗(しんちょく)について、東芝代表執行役専務の平田政善氏は「(売却に必要な各国当局承認の)残りは中国の独禁法当局だけという状況。BainCapitalとともに、中国当局には真摯(しんし)に説明申し上げている。東芝としては2018年3月末までにクローズさせたいが、待ちの状態になっている」と説明した。
売上高3兆9000億円、営業損益はトントン
東芝は同日、2017年11月に公表した2017年度通期業績見通しの修正も発表。メモリ事業を含めた通期業績予想は、売上高4兆9900億円(前回予想比200億円増)、営業利益4400億円(同100億円増)、税引前利益4600億円(同600億円)。最終損益については、前回予想では1100億円の赤字を見込んでいたが、2018年1月にWestinghouse Electric(以下、WEC)債権の売却が完了し、売却益と売却に伴う税額減少などにより6300億円改善する見込みとなり、2011年3月期以来の過去最高益更新となる5200億円の黒字に上方修正した。
一方で、メモリ事業を除いた通期業績予想は、売上高3兆9000億円、営業損益はトントン、税引前利益は200億円にとどまる。
ただ、平田氏は、構造改革費用600億円を2017年度に計上していることや、赤字のTV事業が2018年2月にも売却が完了する見通しであること、同じく赤字事業のPC事業で事業売却を含めた赤字解消に取り組んでいることなどを挙げ、2018年度以降も継続する事業での「実質的な営業損益は1000億円程度の黒字になる」と語った。
債務超過は解消へ
2017年度第3四半期末時点の株主資本については、6000億円の第三者割り当て増資の実施に伴い大きく改善したもののマイナス39億円で債務超過のままとなった。ただ、2017年度第4四半期中のWEC債権やTV事業の売却でさらに改善する見込みで、3月末までの売却完了を目指すメモリ事業の売却が成立しなかった場合でも、2017年度末時点の株主資本はプラス4600億円に達し、債務超過が解消するとの見通しを示している。
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