政府vs企業で揺れる「副業」、労働者にメリットはあるのか:世界を「数字」で回してみよう(47) 働き方改革(6)(2/11 ページ)
「副業」は、それを推進するか否かにおいて、政府と企業のスタンスが(珍しく)対立する項目です。人口の減少が深刻な今、政府が副業を推進するのも分かる気はしますが、当事者である私たちが知りたいのは、これに尽きると思います――「結局、副業ってメリットあるの?」
「副業・兼業」を推進する政府
こんにちは、江端智一です。
今回は、政府が主導する「働き方改革」の項目の1つである、「副業・兼業」について考えていきたいと思います。
政府が、「働き方改革実行計画」の「副業・兼業」で掲げている課題は、(私が乱暴に理解した範囲では)以下の通りです。
現在、政府は、この「副業・兼業」を推進する立場を取っています。
しかし同時に政府は、この問題について、企業側からの反発や、その反発に対する労働者側の反発を見越してもいるようです。加えて、法律面の観点からも、この問題、そうとうに厄介な問題があり(後述)、『「副業・兼業」を推進するぞ』と叫ぶだけではダメだろう、ということもよく知っているようです。
何しろ、更生労働省が、自ら「副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)」を作っているくらいです。
このガイドラインを読んでいると、企業と労働者の諍いの間で、右往左往している中間管理職の姿が見えてくるようです。心底『ああ、省庁の皆さんも、本当に大変なんだなぁ』と思えてしまいます(ので、ぜひご一読ください)。
ですので、今回のコラムでは、政府官僚の皆さん、経団連の役員の方々、各企業の会社の社長や幹部、そして労働者が、「公には言えない」だろう本音を、私なりに読みとってみました。
そして、毎度のことですが、「副業・兼業」というのが、政府、企業、労働者にとって、実際のところ"メリット"になるのか、"デメリット"になるのかを、江端の仮説に基づく数値シミュレーションでざっくりと算出してみましたので、ご覧頂きたいと思います。
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