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車載用マイコンが内蔵する不揮発性メモリ:福田昭のストレージ通信(88) STが語る車載用埋め込み不揮発性メモリ(1)(2/2 ページ)
今回から数回にわたり、2017年12月に開催された「IEDM」で行われた車載用の埋め込み不揮発性メモリに関する講座の模様を紹介していく。
先に述べたように、車載用マイコンといってもさまざまな用途がある。大別するとパワートレイン/シャシー/安全関連の用途と、ボディ関連の用途になる。それぞれの用途により、埋め込み不揮発性メモリに対する要求仕様が少し違ってくる。前者はより高い温度でも動作すること、安全規格を満足すること、記憶容量が大きいこと、などが求められる。
大容量の不揮発性メモリを要求するマイコンは多くない
車載用に限らず、マイコンが必要とする不揮発性メモリの記憶容量はそれほど大きくない。市場調査会社の統計によると、512Kバイト以上のフラッシュメモリを内蔵するマイコンは全体の4分の1に満たない(金額ベースのシェア)。一方で64Kバイト未満のフラッシュメモリを内蔵するマイコンは、4分の1強を占める。
(次回に続く)
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