Uber車の死亡事故、自動運転開発の“代償”なのか:事故直前の映像を警察が公開(2/3 ページ)
Uberの自動運転車が2018年3月18日(米国時間)に起こした、歩行者死亡事故。事故が起きた米アリゾナ州テンペの警察は、事故直前の映像を公開している。この事故は、自動運転車の安全性について、議論を加速させるきっかけとなりそうだ。
テンペ警察が事故直前の映像を公開
警察は、複数の車載カメラからビデオ証拠を得られたことを認めており、「ドライバーだけでなく自動車の外側から前面にかけて、複数の角度から撮影された映像がある」と述べている。テンペの警察署は、2018年3月21日(現地時間)にTwitterで、ドライブレコーダーの動画を公開した。
一方、Uberは2018年3月19日に、米国アリゾナ州フェニックスと、ペンシルベニア州ピッツバーグ、カリフォルニア州サンフランシスコ、カナダのトロントで実施してきた自動運転車の走行テストを中止したことを発表し、「警察の捜査に全面的に協力する」としている。
VSI LabsのMagney氏は、「性急な判断を下さないよう注意が必要だ。重要なのは、自動運転車が、人間のドライバーによる運転と同程度の安全性を確保できるのかどうかという点だ」と指摘する。
今回の事故は、2018年3月18日の午後10時ごろ、ミルアベニューとカリーロードの交差点で発生した。Uber車は、北方向に走行している時に、自転車を押しながら横断歩道から外れて道路を横断していた女性に接触したという。
Magney氏は、「ミルアベニューは、中央分離帯のある片側2車線の道路で、それぞれ十分な広さの自転車専用道路があり、右側には路肩がある。制限速度については不明だが、時速40マイル前後ではないだろうか」と述べる。
同氏は、「Uberの自動運転車は、制限速度の範囲内で走行していたとみられる。センサーとソフトウェアを搭載している上に、安全性確保のためにドライバーも同乗していたので、急ブレーキをかけたり物をよけたりすることは可能だった。このように、可能な限りあらゆる手段を講じても、自動運転車が歩行者と接触してしまったということは、今回の事故は、予測することが非常に困難で、反応する間もなく発生したのではないか」と仮説を述べている。
Magney氏は、「Uber車は、カメラやレーダー、LiDAR(ライダー)などを数多く搭載しているため、調査関係者たちは、何が起こったのかを正確に把握することが可能だ。また、Uber車や同乗者が、どれくらいの時間で反応しなければならなかったのかも分かるだろう。通常の自動車事故とは違って、自動運転車が起こした事故は、適切かつ公正な情報を迅速に提供できるはずだ」と述べる。
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