特集
自社開発のチップで大規模MIMOの普及加速へ:ノキアに聞く「MWC 2018」(3/3 ページ)
「MWC(Mobile World Congress) 2018」に出展したNokia(ノキア)は、46件にも上るデモを巨大なブースで披露した。中でも来場者からの注目度が高かったのが、モバイルネットワーク向けとしてはノキアが初めて自社設計したチップセットや、5G(第5世代移動通信)で重要視されているネットワークスライシングなどのデモだ。
ネットワークスライシングをユースケースで紹介
5G関連でもう1つ、来場者の注目を集めたのがネットワークスライシング技術の展示だ。小美濃氏は、「5Gでは、ネットワークスライシングが重要になると考えられている。今回のMECでは、より理解しやすいよう、ユースケースを紹介する展示を行った」と述べる。展示では、緊急時に救急車やドローンが使える専用ネットワークを仮想空間上で即座に分離(スライシング)し、ネットワーク回線の品質を確保するという事例を紹介した。
ノキアソリューションズ&ネットワークスのNTT事業本部でCTO(最高技術責任者)を務める高木康志氏は、特にIoTの世界になってくると、従来のネットワークに比べて要件の幅が広がってくる。要件の厳しいものに合わせて全てのネットワークを構築するのは工数もかかってしまうので、要件が特に厳しいものや、通信量は少なくてよいもの、といったように、要件に合わせてネットワークを仮想的に分離していくことが重要になる」と語る。「スライスができていくと、ユースケースに合わせて最適な要件およびコストでネットワークを用意できるようになる」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「有線技術なくして5Gは実現できない」 ノキア
5G(第5世代移動通信)の開発に取り組むNokia(ノキア)。ミリ波やMassive MIMOなど無線ネットワーク技術が重視されがちだが、ノキアは、固定ネットワーク技術の進化なくして5Gの実現はないと強調する。 - 低周波数帯を使う5G、最後の砦は「波形をいじる」
5G(第5世代移動通信)向けの技術では、ミリ波の研究成果が目立つが、低周波数帯もLTEに引き続き重要になる。ただ、特に6GHz帯以下は逼迫(ひっぱく)していて、とにかく周波数がない。京都大学では、低周波数帯において周波数の利用効率を上げる新しい変調方式を開発している。 - 5G向け特許、シャープがいち早く利用許諾を宣言
2017年12月に、「5G(第5世代移動通信) NR(New Radio)」の標準仕様の初版が策定された。シャープはこれを受け、5G NRに適合する同社の特許ファミリー495件を選定し、FRAND条件(公正、合理的かつ平等な条件)で利用を許諾することを表明している。 - 5G開発に注力する中国、背景には大規模なユーザー数
日本、米国、韓国に加え、5G(第5世代移動通信)開発に積極的なのが中国だ。中国では携帯電話の利用者数が爆発的に増えている背景から、5Gの導入に向けて活発に取り組みを進めている。 - 5Gでは垂直統合が進む? “陣取り”が激化
市場調査会社のIHS マークイットは2017年7月10日、5G(第5世代移動通信)の最新動向を解説する記者説明会を開催した。5Gのバリューチェーンでは今後ますますプラットフォーム化が進み、力のある企業が“総取り”するリスクがあるという。【訂正】 - AI+5G+IoTの融合、具体的に見え始めたCES 2018
情報通信総合研究所は2018年1月31日、東京都内で「CES 2018」を振り返る勉強会を報道機関向けに行った。今回のCESは、5G(第5世代移動通信)、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)が融合したサービスが、より具現化されて見え始めた展示会だったという。