5G開発に注力する中国、背景には大規模なユーザー数:ノキアの取り組みで探る5G最前線(4)(1/2 ページ)
日本、米国、韓国に加え、5G(第5世代移動通信)開発に積極的なのが中国だ。中国では携帯電話の利用者数が爆発的に増えている背景から、5Gの導入に向けて活発に取り組みを進めている。
「ノキアの取り組みで探る5G最前線」バックナンバー: | |
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第1回 | 【韓国編】世界初の試験運用を目指す韓国、冬季五輪が勝機に |
第2回 | 【日本編】最初の照準は東京五輪、5G開発を加速する日本勢 |
第3回 | 【米国編】加速する5G開発、実用化に向け実証進む米国 |
携帯電話利用者数が大幅に増加する中国
中国では、この10年で携帯電話利用者数とネットワーク需要が大幅に増加している。中国工業情報化部(MIIT:Ministry of Industry and Information Technology)が公開したデータによると、2015年に携帯電話利用者が1946万5000人増加し、利用者数が13億600万人に達したという。つまり、中国人100人中、95.5人が携帯電話を所有していることになる。さらに正確に言うと、2010〜2015年までの5年間で、3Gおよび4Gネットワークのユーザー数は4705万人から7億8533万人に増加していて、携帯電話所有者全体の60.1%を占めている。
そのため、中国は5G技術の導入にかなり積極的な姿勢を見せている。中国政府は、2013年に他の国々に先駆けて「IMT-2020(5G)推進グループ」を立ち上げた。これは、中国国内で5G技術の研究を推進する主要なプラットフォームである。
MIITの導入計画によると、中国では2016年から2018年にかけて、「主要技術の検証*)」「技術ソリューションの検証」「システムレベルの検証」の3段階で5G実証実験が実施される。2016年初めには、5G技術の検証を正式に開始し、オープンな開発プラットフォームを確立した。IMT-2020推進グループは、第1段階と第2段階のテスト仕様を策定し、公開もしている。
*)ベル研究所の中国拠点では、「主要技術の検証」において、28GHz帯のMassive MIMO技術、ハイブリッド・プリコーディング・ベースの3.5GHz帯Massive MIMO、UF-OFDMベースの5G波形、ネットワークスライシング、モバイル・エッジ・コンピューティング(MEC)という5つの技術について検証作業を完了している。
5G技術の検証における目標は、概念から実用化へと促すことや、5G向け主要技術の検証、製品の実現に向けた推進、標準化の促進、応用(アプリケーション)の実現である。IMT-2020(5G)推進グループのような活動によって、5G技術の検証*)だけでなく、業界全体の発展が進んでいる。
*)ベル研究所は検証前に、28GHz帯をサポートする5Gプロトタイプの開発に成功した。物理層技術、高周波技術、大規模なアンテナシステムによるビームフォーミング技術、ビームトラッキング技術などが検証された。最大伝送速度50Gビット/秒(Gbps)、最大スペクトル効率100bps/Hz以上、伝送遅延0.25ミリ秒も検証されている。
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