高効率なモーター開発を支える、横河の最新計測器:TECHNO-FRONTIER 2018レポート(2/2 ページ)
横河計測は「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」で、より高効率のモーター開発を支援する最新の計測器を展示した。±0.04%の電力基本確度を持つパワーアナライザーや、SiCインバーター回路の測定など向けに、多点測定が行えるアナログ8チャンネルオシロ、CAN FD信号からアナログ信号をリアルタイムでデコードできる新モジュールなどが並んだ。
モーター開発でも活躍するスコープコーダ
オシロスコープとデータレコーダーの機能を併せ持つ「スコープコーダ」の「DL850E」についても、モーター開発に使う場合を想定してデモを披露した。スコープコーダはモジュール式の測定器で、電圧、電流、振動、温度、回転角度、トルクといった、モーター開発に必要なモジュールを組み合わせることで、多チャンネルの測定が行える。モジュール式による拡張性の高さは、スコープコーダの特長の1つだ。
さらにDL850Eには、有償のオプションとなるが、リアルタイムで電力を演算する専用回路を搭載できる。これによって、より総合的な評価ができるようになると横河計測は説明する。
スコープコーダは、低ノイズという特長もある。モジュール内部は光で絶縁されている(モジュールによっては、チャンネル間でも絶縁されている)ので、高速応答性を保ったまま、正確に測定できるという。
CAN FD対応モジュールが登場
横河計測は2018年4月18日に、スコープコーダ向けの新しいモジュールとして、CAN FD信号からアナログデータをリアルタイムで抽出、デコードできる「720242 CAN/CAN FDモニタモジュール」(以下、720242)を発表した。
現在、車載ネットワークでは、高速通信や大容量データ転送がますます求められるようになってきており、それに伴ってCANからCAN FDへの移行が進みつつある。720242は、CANに加え、CAN FDにも対応したモジュールだ。1枚のモジュールで最大120チャンネルのCAN/CAN FD信号を同時に測定可能だ。デコード処理時間を従来の最大10分の1となる40マイクロ秒に短縮した。サンプリングレートは最高で100Kサンプル/秒。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- EVモーター制御の専用回路を開発、CPU負荷軽減
ルネサス エレクトロニクスは、車載用マイコン向けのモーター制御専用回路技術「IMTS(Intelligent Motor Timer System)」を開発した。フィールド指向制御演算の処理を高速で実行し、CPUの負荷も大幅に軽減することができる。 - 印刷で薄くて柔らかいモーターを実現
東京大学の川原圭博准教授らの研究グループは、印刷技術を用いて、薄くて柔らかい軽量なモーターの作製に成功した。ソフトロボットへの応用などが期待される。 - クルマに載せて走行試験、携帯性重視のデータロガー
横河計測は「第10回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、2017年6月に発売したスコープコーダー「DL350」を展示した。オシロスコープとデータロガーの長所を併せ持つ計測器だ。自動車向けに、GPSと連携して走行試験を行うデモや、「CHAdeMO」方式のEV(電気自動車)急速充電器のテストのデモなどを披露した。 - オシロとロガーのいいとこ取り計測器が手軽に進化
横河メータ&インスツルメンツは2017年6月13日、オシロスコープとデータレコーダー(データロガー)の長所を併せ持つ計測器、スコープコーダ「DL350」を発売した。従来のスコープコーダから機能を絞り、可搬性を高め、フィールドでの試験、測定用途に対応できる計測器となっている。 - ルネサス、車載レーダー分野に本格進出
ルネサス エレクトロニクスは、自動運転に必要となる車載レーダー向けに新シリーズマイコンを市場投入する。これを機に車載レーダー分野へも本格進出する計画だ。 - “コンマ数パーセント”が問われるモータ/インバータの効率改善に効く基本確度±0.04%の電力計
横河メータ&インスツルメンツはTECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア)2015」で、「業界最高の電力基本確度」(同社)という電力計を展示した。